国民的な人気タレント・グループ「SMAP」の解散騒動とその謝罪生放送は、SMAPファンの女子のみならず筆者のような「熱烈なSMAPファンというわけではないけれど、グループとしてのSMAPに対してもメンバーの一人一人に対しても好感を持ち続けてきた一国民」にも、わが国の芸能界とは何なのか。ひいては私たちが生きているこの社会はどんなのか。そんなことを考えさせる契機となってしまったように思えます。

そんな中、女性週刊誌大手の『女性自身』が、「SMAPのリーダー・中居正広さんには100億円の預金があるのではないか」という主旨の記事を配信したものですから、「いくら預金が100億円あったって所属芸能事務所の方針に逆らっては独立したタレントとして生きて行く自由すらない中居くんが可哀想すぎる!」という女子たちの声が、あちらこちらから筆者の耳にも聞こえてくるような毎日です。

<参考:『女性自身』電子版 2016年1月27日配信>

【大手や大物に逆らったら仕事自体が来なくなることを怖れまくるのって、それでも男?!】

筆者の知り合いの20代の中居さんファンの女子はこう言いました。

関西系の大手お笑いタレント事務所に所属している芸人の某さんが中居くんに「SMAPや事務所といったものを離れてやって行けるなどとゆめゆめ思うなよ」みたいな忠告的なことを言ったらしいけど、私は某さんに「あんた、それでも男かっ!」って言いたい。だって、そうじゃないですか。事務所だって、これまで中居くんのパーソナリティーのおかげでどれくらい儲けさせてもらってきたと思ってるんですか。100億円なんてもんじゃないでしょう。兆とまでは言わないけれど、千億円単位でしょうが?

事務所は、もう十分じゃないですか。なんで中居くんたちを自由にしてあげないんですか。育ての親も同然のマネージャーさんの件をきっかけに自らも巣立って行こうと企てたSMAPを、気持ちよく送り出してあげたらいいじゃないですか。だいたい、大手や大物に逆らったら仕事自体が来なくなることを怖れまくって偉そうに説教してる某さんや、大手・大物寄りの報道をしてるマスメディアの男たちって、ホント男らしくないと思う。

筆者は彼女のこの言葉に一人の男として、ぐうの音も出ませんでした。

【大手・大物に抗して独立し、それを超えた例もあり。『下町ロケット』はやっぱり絵空事だったという例もあり】

日本が大きな組織を飛び出して独立する人に対して厳しい社会であることは事実でしょう。池井戸潤さんの話題作『下町ロケット』で描かれているような「大組織を飛び出した小さき者が大をも超える」といった世界が現実にはごく稀であるからこそ、あの物語は痛快なわけです。

一方、芸能界というわけでもありませんがアニメーション業界最大手のひとつである東映動画を高畑勲さんとともに飛び出した宮崎駿さんにしても、徳間書店という出資者に恵まれスタジオジブリを設立するまでには実に15年近い歳月を要しています。あの巨匠たちにしても、自分たちが本当にやりたい仕事ができる環境にたどり着くまでにはそのくらいの時間がかかっているわけですね。

ジャーナリストの津田大介さんは朝日新聞の『論壇時評』でSMAP問題を引き合いに出して、わが国は今でも本質的には土着的なパワーが若い才能や女子の持ち味を押しつぶしてしまう閉塞的な傾向を持っているといった主旨のことを述べています。

<参考:『「地の文」が隠した背景』津田大介 2016年1月28日付『朝日新聞』朝刊『論壇時評』より>

【SMAPはSMAP。これからどうなって行くにせよ、メンバー一人一人の人柄とゆるい戦友意識は変わらない】

筆者は個人的には、SMAPがこれからもグループとしての結束を維持しながら活動を続けて行くことは、難しいであろうと思っています。今回の件で、メンバー間での「大事に思っている対象の違い」がはっきりと見られたからです。「育ての親」を大切に思う中居さんのような「情の人」と、そうでなく自分たちの成功の要因を極めて経営的な視点で客観的に視ている木村拓哉さんのような「知の人」とでは、50代以降の職業人生を一緒に歩んで行くことは恐らくできないであろうと思うからです。もっとも木村さんには妻子がいるので、木村さんにとっては「家族を守り抜く」ことこそが「情の行動」だったのかもしれませんが。

一つだけ間違いないことは、SMAPのメンバー一人一人の人柄と、彼らがともに過ごす中で長い年月にわたって育んできた「戦友意識」が変わることは、これからもないだろうということです。SMAPはSMAP。グループとしての活動を段々と減らしながら、ゆるい統一性だけは今後も続いて行くのだろうと思います。

忘れていけないことは、「巨大なパワー」の庇護から飛び出してでも、中居さんたちが「人の情」を選択しようとした事実であり、それに対して日本中から集まる「中居くんが可哀そう」という女子たちの声が多いことです。私たちは、「お金よりも人の情」という価値観を完全には捨てきれないでいたのだということを、中居さんたちが改めて見せてくださったのかもしれません。

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