「兄弟リスク」が高まっていると言われています。“仕事に就いていない成人”や“結婚していない成人”が急速なペースで増加する日本にあって、安定した雇用と十分な年金に恵まれた「親世代」の存命中はいいものの、次第次第に親世代が亡くなっていく時期を迎えつつある今、40代・50代になっても仕事をしておらず伴侶も持たない兄弟に関して、「ひょっとして、あたしが面倒みなくちゃいけないわけ?」といった女子たちからの悲鳴が聞こえてきます。

【兄弟の将来の面倒みる?】

2016年2月8日発行の『AERA』では、『世代間連鎖するきょうだいリスク~自立できないきょうだいの負担が子世代に~』という古川雅子ライターの署名入り記事を掲載しています。その中で「きょうだいの将来の面倒みる?」というインタビューを30代以上の一般の女性に行っているので一部をご紹介してみます。

「援助はしない。一度援助してしまうと自分が死ぬまでという長い間、することになりかねない」(愛知県、女性30歳、公務員)
「介護すると思うが、自分が夫などの介護をかかえていたら、体力的にも金銭的にもきついと思う」(東京都、女性38歳、専業主婦)
「単なる甘えであれば突き放します。生活保護でも何でも受けてもらいます」(神奈川県、女性50歳、金融業)

これをみるとやはり、「冗談じゃないわよ」といったご意見の方がやや優勢のような気がいたします。
<参考:『AERA』2016年2月8日号>

【あなたの子どもが、あなたの兄弟の将来の面倒もみる?】

記事ではまた、「あなたの子どもが、あなたの兄弟の将来の面倒もみる?」というインタビューも行っています。これがまたたいへん興味深いので、その一部をご紹介しておきます。

「精神的援助のみ」(愛知県、女性30歳、公務員、子どもは0歳)
私とならかまわないけれど、娘と同居と言われたら断る」(東京都、女性47歳、自営業、子どもは11歳)
私はシングルマザーで兄は独身。私の息子が兄の面倒をみるようなことにならないよう、私がなんとかしなくてはと思う」(東京都、女性47歳、フリーランス、子どもは0歳)

これを見ると、自分が自分の兄弟の面倒をみるかという最初の質問のときよりは、「本音の部分では面倒をみてあげたいけど、それを自分の子どもにまで連鎖させることは絶対にできない」といった“兄弟愛”の欠片(かけら)が見えてきますね。
<参考:『AERA』2016年2月8日号>

【一般論としては男兄弟同士より女姉妹同士の方が仲は良い。でも……】

このような「兄弟リスク」の問題が表面化するのは、兄弟が成人しているのに経済的に自立できていない場合がほとんどです。また完全に自立できてはいなくても、少なくとも生活費の大半は自分で稼いだお金で賄おうという気持ちがあり、それを実践している場合には「兄弟リスク」がさほど問題になることはありません。

また、あくまでも一般論としてではありますが、男の兄弟同士よりは女姉妹同士の方が概して仲は良いため、「女子の兄弟リスク」といったものが特別に注目されることも、これまではあまり無かったような気がします。

「兄弟リスク」が表面化してくるのは、きょうだいがNEET(ニート。15歳から34歳までの、若年無業者)であったりSNEP(スネップ。20歳以上59歳以下の、孤立無業者)であったりといった、「自分の生活費すらも自分で働いて稼いだお金で賄わなければ」という気持ちがない(あるいは、気持ちがあっても現実が厳しい)場合とか、兄弟が運悪く人生の道半ばで大きな病気にかかったり大ケガをしたりして、物理的に「働けなくなってしまった」場合だということができるでしょう。

さすがにこういったケースでは仲が良かったはずの女姉妹同士であっても、自分の家庭、自分の子どものことを考えたら、「何から何まで私に依存されたら困るのよ!」という気持ちになることもあるのは仕方のないことのように思えます。

【兄弟リスクの問題は社会問題であると同時に、出来る限りのことは自分でやるという意思の問題でもある】

いま表面化しつつあるわが国の「兄弟リスク」の問題は、社会問題です。働く人の4割を占める非正規労働の人の賃金があまりにも低く、生活可能賃金に達していないというこの社会の現実。また、福祉政策が高齢者の方にばかり向きすぎて若い人たちの教育や支援に税収を割り当ててこなかったことのツケが、一挙に回ってきたのだと言えないこともありません。

ただ、社会問題であると同時に、「頼っている方」の兄弟は「頼られている方」の兄弟のことを思いやり、自分のことを100パーセントは自分でできなくても、出来るだけのことは自分でやって「頼られている」きょうだいの負担を可能な限り軽減してあげる“思いやり”を持たないと、この問題が一向に好転して行かないことも事実でしょう。

子どもの頃、近所のガキ大将に泣かされていたところを助けてくれた頼もしい姉。中高生の頃、学校の先輩男子に恋をした姉の力になんとかしてなってあげたいと奔走した健気な妹。そんな思い出をいつまでも楽しいものにしておくためには、兄弟のことを思いやって「頼っている方」の人が“自分にできることはギリギリまで自分でやる”という意思を持てるかどうかが重要であるように思います。

また、自立できない兄弟の不安が頭をよぎった女子の皆さんは、その時点で一度ざっくばらんに「これからのこと、話し合いましょう」と声をかけるのがいいかもしれません。あまりにも奥が深く、難しい問題ではありますが、避けて通るわけにもいかない問題であることは確かです。
 



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(女子のお悩み解決コラム -WomanNews ウーマンニュース-)