お酒や特に辛口のお酒、苦いビールが苦手でいつもカクテル派の女性もいらっしゃいますよね。そんな方でも甘口ワインは飲めるのではないでしょうか?また、ワイン好きの方でもデザートワインと言うくらいですし、甘口ワインをデザート代わりに飲む方もいます。そして、お酒好きの方は意外と敬遠したりバカにしたりしているこの甘口ワインですが、意外と奥深く高級なものですと何十万もしたりします。今回は甘口ワインの造り方についてです。

・甘口ワインとは?
ワイン中に含まれている糖分のことを残糖と言います。漢字を見ればわかると思いますが、アルコール発酵の際に酵母が分解しきれずに「残った」糖分という意味です。そしてその残糖を含むワインが甘口ワインです。日本には甘口ワインを軽蔑しがちな人も多いですが、ワインの世界では甘口ワインは奥が深く「大人のお酒」「大人のデザート」と考え、熱狂的なファンもいます。(逆に言えば、日本にはあまりワインが飲めない人でも飲みやすいように造られた、あまりおいしくない甘口のお酒があることも事実です。)甘口ワイン、と一言で言ってもその中には様々な種類があります。大きく分けて造り方は3つに分かれ、以下はその3つの説明です。

・甘口ワインの造り方は大きく分けて3つ!
-果汁の糖度を上げる造り方
ブドウ果汁が甘くなるように様々な工夫をして、酵母がアルコール発酵で消化しきれないだけの糖分が果汁に含まれるようにする、というものです。発酵を司る酵母は、アルコール度数が容量パーセントで15度前後になると自らが算出したアルコールに負けてしまい、活動ができなくなります。果汁の糖度が25度の場合に、アルコール度数が15度前後になります。つまり、果汁糖度が25度以上であれば、ワインは甘口になるということです。貴腐菌をつける貴腐ワイン、凍らせて凍っていない部分だけを絞るアイスワイン、ブドウの一度レーズンのようにしてから絞る干しブドウワイン、完熟するまで待ってから摘む遅摘みワインがこのカテゴリーです。
-アルコール発酵を途中で止める
発酵が始まると果汁中の糖分が徐々にアルコールに変わっていくのですが、その工程を途中で止めるとワインには残糖が残ります。アルコール発酵は、冷却したり二酸化硫黄を添加するなど、酵母にとって厳しい条件を作ると止まります。ドイツで造られる中甘口のワインの多くがこの発酵停止の方法で造られています。
-甘味を持つ物質を添加する
これは簡単なので、比較的安いワインに多く使われる手法です。ドイツで造られる一部の低アルコールの中甘口ワインは瓶詰め前に未発酵のブドウ果汁を加えて甘くしています。ワインにブドウ以外の物質、薬草や他の果実の果汁など、を加えて造るワインのことをフレーバードワイン、またはアロマタイズドワインと言います。

・本格的なものは熟成もし、高価です
甘口ワインのうち、果汁糖度を上げる、というアプローチで造られるワインはとても高価です。果汁糖度を上げるアプローチで造られた甘口ワインは普通のワインよりも少ない量しかできません。果汁糖度を上昇させることによって、必然的に果汁の量が減ってしまうからです。
強い甘みにはワインの寿命を長くする力があり、最高級の甘口ワインは赤ワインを凌ぐほどの長寿を誇ります。アイスワインやポートワインには100年を越してもまだ飲み頃を迎えているワインをあります。甘口ワインは一人で飲むのは大変ですが、一度あけてもコルクでも良いのでフタをしておけば2週間は持ちます。バニュルスなどは半年は余裕で持ちますので、少しずつ寝る前に飲むのもオススメです。

・覚えておいたほうが良い本格的な甘口ワインの種類
果汁糖度を上げて造る本格的な甘口白ワインはいくつかありますが、いくつかとても有名なものがあり、是非名前だけでも憶えてほしいです。

・貴腐ワイン
ボトリティス・シネレア菌(貴腐菌)という、カビの力を借りて果汁の糖度を上げるのが貴腐ワインと呼ばれる極甘口ワインです。この菌は灰色カビ病というありふれたカビ系の病気を引き起こす原因菌なのですが、一定の気象条件下で白ブドウを繁殖した時に、素晴らしい甘口ワインの原料を造ります。貴腐菌が繁殖すると無数の目に見えない小さな穴をブドウの果皮に造ります。そこから果汁中の水分が蒸発して干しぶどう状態になり、見た目はカビだらけでしわくちゃのブドウですが、口に入れると濃厚な甘味が広がります。このブドウを絞って少量の果汁を取り、発酵させると貴腐ワインができます。ただ甘いだけではなく、カビに由来する独特で複雑な風味を備えています。貴腐菌が繁殖するには、朝霧が立ち込めたあとに日中は晴れる、などある一定の条件が必要で、造られる産地が限られます。

世界三大貴腐ワインの産地
-ソーテルヌ(フランス・ボルドー)
-トロッケン・ベーレン・アウスレーゼ(ドイツ)
-トカイ・エッセンシア(ハンガリー)

・アイスワイン
アイスワインは氷果ワインと訳されていることからもわかるように、凍ってシャーベット状になったブドウを使って造ったワインです。シャーベット状のブドウを絞るとまだ凍ってない液体の部分に糖分や他の成分が濃縮されるので、非常に高い糖度の果汁を得られます。アイスワインを造るためには、通常の収穫期を過ぎてもブドウを摘まず、葉がすべて落ちてしまってもまだ摘まずに、房だけを樹にぶらさげておきます。そうするうちに、寒波によってブドウが凍り付く日がやってきます。ブドウが夜間に凍り付いたら、夜が明ける前に畑に出て一気に摘み取り、ブドウが溶ける前に絞ります。寒波を待っている間にカビが繁殖してブドウがダメになってしまたり、鳥に食べられてしまったり、非常にリスクの高いワインですドイツが本場ですが、オーストリア、カナダでも造られています。

・干しブドウワイン
ブドウを乾燥させて干しぶどうにし、果汁糖度を上げて作ったワインです。フランスでヴァン・ド・パイユ、イタリアでレチョート又はパッシートと呼ばれます。収穫したブドウをスノコや藁の上に並べたり、天井から干したりして須か月陰干しして、水分がある程度蒸発したところで果汁を絞ってワインにします。

・遅摘みワイン
ブドウは熟すにつれて糖度が上がっていきます。よって、通常のタイミングより摘み取りを遅らせるだけでも甘口ワインの原料になります。ドイツで作られる遅摘みワインのことをアウスレーゼと言います。


いかがでしたでしょうか。甘口ワインはとても労力のかかるワインです。その割に、鳥に食べられてしまったり、凍るのを待っていたら全て凍ってしまったり、とてもリスクがとても高いものです。ですので、価格が高くなってしまうのですが、レストランなどでグラスで飲める場合はとてもお買い得なので是非デザートの代わりに飲んでみてください。