ワインを知るための4つの「V」

・Variety(葡萄品種)
・Vinyard Location(葡萄畑のロケーション)
・Vintage(収穫年)
・Vintner(作り手)

4度目となる今回のテーマはVintner。
Vintnerはワインの作り手のことで、ワインの個性の最も核となる部分です。
スーパーで購入できる大手メーカーだってメーカーごとの個性があり、小規模の農家製のものならなおさらです。

素材は同じでも家庭の料理はいろいろですよね。
ワインも同じで、たとえ畑が隣同士であっても、つくり手が違えばできあがるワインは違います。
しかし、誰がどんなワインを作り出すのか覚えるのは至難の業。
いろんなワインをなるべく沢山飲んでみる・・・というのが一番なのですが、なかなか難しいですよね。

「なにを選んで良いのかわかんないんだよね」とおっしゃるお客様に筆者は時々、「旅先を選ぶようにワインを選んでみましょうよ」といっています。
ものすごく大雑把に言うと、アメリカのワインはアメリカっぽい、フランスのワインはフランスっぽいからです。
というのも、ワインのキャラクターはその国々の歴史や嗜好的な好み、最新技術派なのか伝統か、宗教的、文化的な様々な背景と切っても切り離せないためです。
まずはご自分の興味ある国、見た映画や旅行に行った国のものを選んでそこから広げていくのも楽しいのではないでしょうか?

そしてもう一点。
vintnerに関わるお話をすると必ず質問に尋ねられるのが流行の「自然派」ワインについて。

ここでごくごく簡単にこの自然派ワインなるものを説明いたしましょう。
自然派といっても段階があって、みな同じではありません。
自然派ワインは、

・機械や人工的な肥料、農薬を使用せず有機農法で葡萄を栽培し
・二酸化硫黄などの酸化防止剤を無添加
・天然酵母を使用し、補糖や補酸しない。
・無ろ過、無清澄、無着色、そのほか特殊な醸造技術を使用しないこと

などの決まりがあります。
栽培段階での自然なことはもとより、ワインを作るうえでも自然であることが求められるわけです。

一言で有機農法といっても段階はさまざま。

①リュットレゾネ
人工の肥料や農薬を極力抑えた農業、減農薬法とも言って現在これが最も多いのではないかと思われます。

②ビオロジック
人工合成された肥料や農薬を一切使用しません。ただし硫黄や硫酸銅など自然界に存在する薬剤は使用できます。

③ビオデナミ
思想家ルドルフシュタイナーが提唱した農法。人工の肥料や薬剤をしようせず、土壌や生物、環境の力を最大限に引き出すために、プレパラシオンとよばれる天然に存在する物質由来の独自の調剤をしよう、天体の運行に則した栽培を行います。

日本は特に天然であることに敏感な市場なので、この「自然派」ワインは少し前から一世風靡するほどの人気を博しています。
確かに筆者も以前、力のあるビオデナミのワインをいただいた時、聖体拝受をうけたような衝撃がはしりました。
自然派って何なんだ!?すごい!と大きな感銘を受けたものの…でも、正直そんな本物は残念ながらごくごくわずかであると思います。
自然派…という言葉が現在独り歩きしていますが、もともとビオデナミが提唱する「月の運行」によって葡萄を栽培するという考え方は葡萄でなくても昔の農家が普通に取り入れてきた考え方です。

私の実家ではたしか、祖父の代、よく育つからと、蕎麦を満月の数日前に植えて、新月から何日かで収穫していました。
良識ある農家が美味しいものを作ろうとして、代々受け継がれたそのやり方は、自然の生態系を壊さない本来「自然」なものであるはずです。
そして、健全な葡萄を作ると自然に収穫時のPH(酸度)は低くなり、SO2は必要最低限の添加ですみます。

しかし、それはあくまでも葡萄が健全であれば…が大前提。
湿度が高く病害虫の害のおそれのある地域で、無理にSO2を無添加にしてしまうと、できあがったワインが飲み手の口に入る頃には劣化し、健全ではない状態になってしまうおそれもあります。
無添加だから良いということではなく、添加する必要があるのに添加しなければかえって危険だということです。


もともと、海外から日本へワインを輸入し、それを全国くまなく流通させようと思うときに、自然なものが無添加であるということは大変なことなんですね。
常に温度や管理に最新の注意を払う必要があります。
まず「安全かどうか」「飲むときに美味しい状態かどうか」ということは非常に大切なことです。
今インターネットなどで「SO2は危険な添加物です。ワインはSO2の入ってないものを飲みましょう」と書いてあるものをよく目にしますが、SO2はローマ時代からワインに添加されてきたもので、過剰に摂取しなければ危険ではありません。

ワインはその美味しさで人を感動させ、癒す飲み物です。
目の前のワインの希少価値や、自然派だからという肩書きは本来必要ありません。
感動に値するくらい美味しくてさらにそれが自然派なら「なるほど」と感動が生まれるだけです。
「自然派だから美味しい」「自然派だからすばらしい」ではなくただ単に美味しいから、すばらしいのです。

美味しいかどうかを決めるのはそのワインの謳い文句ではありません。
あなた自身の舌です。

ここまでにあげた4つのV。
これを参考に、今までとはちょっと違うワインも時には手にとってみてください。
どんな人がどんな風につくっているのかな?と少し思いをはせてみてください。
きっと新しい美味しい出会いがまっているはずです。
 

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