日本の首都、東京。
情報や物流、人、ありとあらゆるものが集まる日本の中心に、美味しいチーズを作り出す小さなチーズ工房があるのをご存知ですか?

工房の名前は「フロマージュドテロワール」。
フロマージュはフランス語でチーズ、テロワールとは環境や微気候のことです。

工房を切り盛りするのは鶴見和子さんという女性で、フランスの国立乳製品専門学校で学び、チーズ製造責任者の資格を取得。いったん日本へ帰国するも再びフランスへ渡り、より上級資格を取得なさったチーズのプロです。

チーズといえば自然豊かなアルプスだったり、北海道の大きな牧場でつくるもの……というイメージがあります。
東京で美味しいものが作れるの?東京には失礼ですが、そんな疑問を抱えて青梅にある工房へお邪魔してみました。

鶴見さんのつくるチーズはウォッシュタイプ。
日本にチーズ工房は沢山ありますが、多くの国産チーズは、どういった働きをするか決まった人工培養の乳酸菌を添加します。
そうすることによって、常に一定の発酵、安定した熟成、品質の安定と均質化を図ることができるのです。ある程度の製品を生産する上でその日その日でつくカビが違ったり、色が違ったりでは困るからです。

鶴見さんのチーズが他のチーズ工房と大きく違うのは、発酵を促す乳酸菌を自分で起こしている点。
東京酪農組合から牛乳を運んでもらい、そこからまず乳酸発酵させるための乳酸菌を起こすのです。

そのため気温や湿度に影響され、天気や季節、湿度など、そのときそのときでチーズは違う表情を見せるそう。
柔らかくなったり、白っぽいカビがはえたり、色合いがオレンジ味をおびたり。そのコントロールを大変と言いながらも、とても活き活き楽しそうなのが印象的でした。

チーズにとってどんな熟成環境に置かれるのかはとても重要です。
チーズは視点によって様々な分類をすることができますが、工業製チーズと、農家製のチーズでわけることもできます。

工業製チーズをフランス語で「レティエ」農家製チーズを「フェルミエ」と言いますが、工業製チーズで大切なことの一つは製品の均質性と安定性。
そして、近代的な食品の製造と販売のためには、製造環境の衛生と管理が必要不可欠になります。
そのために近年、HACCP方式といって食品の微生物汚染を未然に防止する対策手法が国連の国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同機関から出され、これが日本やフランスなど国際的に推奨されるようになりました。

わかりやすく説明すると、昔からある飲食店では結構衛生的に一見汚かったりするところがありますよね。そういったところを綺麗にして食べ物にばい菌がつかないように掃除したり、殺菌したりしましょうね!ということです。
衛生面に注意することはたしかに大切です。
しかし、お醤油や日本酒、味噌など日本でおなじみの発酵~熟成食品同様、チーズもどんな熟成菌が住んでいる場所で熟成するのかで味わいの個性ができあがります。

フランスではお父さんが伝統的にチーズをつくっていた工房を息子さんが徹底的に掃除したら、できあがるチーズの味が変わってしまい、お客さんが離れてしまった……ということもあったのだそう。

そういえば、東北の震災で歴史があるお醤油やさんが被害にあい、再建のためにまず醤油蔵のあった瓦礫から菌をとってらっしゃるのをTVで見たことがあります。
それだけ熟成菌は大切なんですね。

鶴見さんも「工房の衛生には徹底的に気をつけるけれど、この工房にいるここの菌層を大切にする」とおっしゃっていました。
まず完成図があり、自分が作りたいものをつくるのではなく、たまたまその場にいる環境の菌層を利用して自然につくる。

安全に美味しくつくるためには勿論高度な知識や熟練の技が必要なのだと思いますが、それと美味しい原料乳さえあればその土地その土地の個性=テロワールを活かした美味しいものはどこでも出来るんだ!と眼からうろこでした。

チーズ同様、女性がある業界の第一線で活躍し続けることは至難の業です。
結婚、出産、育児。住む環境は自分の理想とは違うこともしばしばありますが、なりたい自分に周りを合わせなくても、自分に「こうしたい」という意思と、技術、知識、経験などの土台があれば理想郷でなくても自分らしく生きていけるんだということを見せられた気持ちになりました。

現在、工房で作られているチーズは青梅産の牛乳を使ったウォッシュタイプの「フロマージュ・ドーメ」(青梅の焼酎「武州伝説」を仕上げに使用したものと、「元禄」という日本酒を使ったものの二種あります)、少し小さな「プティ・トーメ」、プレエグダージュといって乳酸発酵を強めにすすめて酸度をあげてつくる「グロン・トーメ」。

他には東京ワイナリーの葡萄の搾りかすをまぶしたチーズ「酔っ払いチーズ」やヨーグルトの水分を切ったような「フロマージュブラン」など様々。

どれも一日目よりも、次の日、また次の日と味わいが深く複雑に熟成していきます。
酔っ払いチーズは葡萄の搾りかすからの酸味がさわやか。種まで一緒に乗っています。

東京の地で、とことん東京のテロワールでつくられた小さなチーズは、力まず自然な美味しさを楽しむことが出来ます。

LeTAO(ルタオ)が小樽からおいしいスイーツをお届けいたします


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