専門店や百貨店で色とりどり種類豊富に並ぶチーズ。一見一年中同じものが並んでいるように見えますが・・・チーズにも旬や季節による味わいの違いがあることをご存知でしょうか?

今回はチーズの旬と季節や環境によるチーズの違いのお話をしたいと思います


【餌の春夏秋冬】

・春~若草の季節
春の若草は酵素や栄養素を多く含み、チーズの味わいに深みを与えます。若草の時期には花も咲き、アルプスの山のチーズなどはこうした春から夏にかけての花やハーブを食べた牛の乳からでないと独特の風味が出ないといわれるものも多くあります。

・夏~牧草、野草
夏には放牧地は青々とした牧草が成長して茂ります。そういった夏草には繊維質がたっぷりで、乳量が増え、チーズ作りしやすくなります。また、牧草にカロテンが多く含まれるので、出来上がるチーズの色合いは黄色味を帯びます。

・秋~干し草
秋の始まりは、どの牧草地も晩秋から次の春までの重要な食料「干し草」作りが盛んになります。干し草は2~3回作られますが、1番狩りの干し草がやはり栄養価も高く、美味しいため家畜たちもよく食べてくれるそうです。

・冬~サイレージ
牧場に設置された大きなタンクはサイレージといって、牧草を密封し乳酸発酵させた、いわば「牧草のお漬物」が入っています。きちんと作られたサイレージは栄養価高く、素晴らしい餌となりますが、好ましくない発酵をしたものが少しでも混ざるとチーズが全てだめになってしまうため、フランスやスイスの長期熟成型の大きく固いチーズでは、このサイレージを食べている期間の牛の乳ではチーズをつくらないというものも多くあります

このように春夏秋冬餌が違うので、初夏から夏にかけての牧草を食べたものが特に品質が良いと言われています。フレッシュチーズや柔らかいチーズは作って数日~数週間で出荷されるのですが、コンテなどの固いチーズは数か月熟成してから出荷されますので、こうした美味しい時期のチーズは秋から冬にかけて市場にでてきます。目印はフランスチーズのパッケージに書いてある「エテété」=夏つくり、とか「アルパージュalpage」=アルプスでの高地牧草という表記。他の季節に作ったものと区別した特別に美味しい旬のものですよという意味なのです。


【餌の環境】

山の放牧地か、消費地に近い平野かによってもチーズの味わいは異なります。

・山のチーズ
アルプス地方などの山岳地域では初夏から初秋にかけて高地で放牧を行い、寒くなると山麓まで牛をおろすという昔ながらの牧畜の形態が残っています。山岳地は冷涼で空気が澄んでおり、雑菌も少ないため、牛乳も美味しく健全。殺菌しなくても有用な環境熟成菌を利用した、個性的でうまみのあるチーズをつくることができます。山でつくられるため機械化が進まず、大量生産もできません。現代も、昔ながらの伝統的な製法と地域による個性が守られています。

・平地のチーズ
フランスのパリ近郊や、イタリアのポー川流域で作られるソフトタイプのチーズがこれ。平地でつくると大規模化、機械化が簡単で大量生産することができますが、環境が汚染されがちですし、広範囲から原料乳を集めてくるため、搾乳してからチーズ製造までに時間がかかってしまい、どうしても乳を殺菌しなくてはいけません。
乳を殺菌すると乳酸菌や熟成菌は死滅するため、乳酸菌や熟成菌はあとから添加します。そういったチーズは山のチーズにくらべて熟成による変化は単調なものの、優しく食べやすいのが特徴。消費地に近いので消費期限の短い・・・生クリームなどを添加して、リッチで口当たりの濃厚なケーキのようなチーズも多く作られます。


夏にはシャンパーニュに合うようなリッチなタイプの白カビや、フレッシュチーズ。秋には夏つくりの山のチーズが店頭に並び始め、冬はモンドールなどの冬季限定のチーズや、冬の味覚であるジビエと赤ワインに合わせたウォッシュチーズが出回る・・・チーズ売り場をよ~く見てみると季節によってラインナップは違っています。ちなみにこれから春本番に向けて美味しくなるのは「山羊のチーズ」です。山羊は春に子ヤギを出産するので、毎年春から初夏が山羊チーズの旬。小ぶりで香り高い山羊のチーズと、ハーブをつかったお料理や白ワインの愛称は格別です。筆者は毎年お花見では桜餅とフレッシュタイプの山羊チーズ、そしてソーヴィニヨン・ブランを楽しみます。ぜひチーズショップをのぞいてみてください。




beef-1204649_960_720

(女子のお悩み解決コラム -WomanNews ウーマンニュース-)