2015年2月22日に行われた第87回アカデミー賞は候補作の多くが実話を基にしたものでした。とくに主演男優賞はノミネートされた5作品のうち4作品が実話を基にした作品で、受賞したのも『博士と彼女のセオリー』で“車いすの天才物理学者”として知られる実在のスティーブン・ホーキング博士を演じたエディ・レッドメイン。作品賞も8作品のうち半分の4作品が実話を基にしたもので、空前の実話ブームと話題になりました。事実は小説より奇なり、と言われますが、人間がおこなうことは創作物よりもときに感動的で、ときに残酷です。今回は実在の事件を基にして製作された映画をご紹介します。


◆ボーイズ・ドント・クライ
1993年にネブラスカ州フォールズシティで実際に起こった事件。町外れの傾きかけた農家で、二人の死体が発見された。最初はたんに血なまぐさい殺人事件と思われていたが、やがて被害者と犯人たちの物語が明らかになるにつれ、その背景が想像よりはるかに根深いことがわかってきた。1999年主演のヒラリー・スワンクがアカデミー主演女優賞のほか、世界各国の映画賞を獲得した。

【ストーリー】
アメリカの小さな田舎町。無邪気な笑顔で女心をくすぐる美少年のブランドンは刑務所帰りのふたりの男と知りあい、仲間として受け入れられていく。恋人もでき、万事順調と思った矢先に昔の事件がもとで彼の秘密が暴かれてしまう。身体的には女性ながら本人の性自認は男性という性同一性障害。ブランドンがティーナという「女」であるということ。彼の秘密が明らかになったとき、悲劇の幕が切って落とされた…。


◆コンプライアンスー服従の心理—
賠償額は6億円。訴えられたのは世界最大手のファストフード店。1本の電話で女性が裸にされた戦慄の事件。全米メディアが騒然とした問題作。2004年、ケンタッキー州にあるファストフード店内で事件は起きた。警察官を名乗る男からの1本の電話により、従業員だった少女が窃盗の濡れ衣を着せられただけでなく、身体検査と称して裸にされ、性的行為を強要された。映画評論家によるレビューサイト『Rotten Tomatoes』で支持率は89%という高評価を獲得した。

【ストーリー】
アメリカのあるファストフード店。朝からトラブル続きの金曜日、店は賑わいをみせていた。そこへ警察官を名乗る男から1本の電話が入る。その男は、女性店員に窃盗の疑いがかかっていると言い、店長のサンドラにその女性店員の身体検査を命じた。「警察官の言うことなら…」と、サンドラはその指示に忠実に従うことに。しかしこれは、その後数時間にわたって行われる人間の心理を利用した“信じがたい行為"のはじまりにすぎなかった。


乙女の祈り
1954年にニュージーランドのクライストチャーチで実際におこったアン・ペリー(当時16歳)による殺人事件を題材にしている。この事件を犯した二人の少女は無期懲役の判決をうけたが、二度とふたりで会わないことを条件に5年後に仮釈放された。主犯のひとりであるジュリエットはのちにアン・ペリーの名前で数々の賞を受賞する人気ミステリー作家となった。1994年ヴェネツィア国際映画祭にて銀獅子賞を受賞。その他にもアカデミー賞脚本賞など多くの映画祭にノミネートされた。

【ストーリー】
クライストチャーチの女子高に通う内気な少女ポーリンと、イギリスからの転校生ジュリエットは親友同士になり、ふたりだけの世界をつくりあげる。二人の絆があまりに強いため、周囲の大人は彼女たちを同性愛と見なし引き離そうとする。そんな二人が一緒にいるために考えた残酷な計画とは…。


es[エス]
1971年にアメリカのスタンフォード大学で実際におこなわれ、世界を震撼させたスタンフォード監獄実験を映画化。当初2週間の予定だったこの実験はわずか6日で中止となってしまった。その理由とは…? この事件は当時アメリカの学会で問題となり、その後同種の実験はあまりに危険なため学会で禁止された。この実験の被験者はその後10年間にわたってカウンセリングがおこなわれた。モントリオール国際映画祭にて最優秀監督賞を受賞。

【ストーリー】
ある日の新聞にこんな実験広告の記事が載せられた。被験者求む。

・拘束時間:2週間

・報酬:4000マルク

・応募資格:不問

・実施場所:大学内模擬刑務所

スタンフォード大学心理学部ではある実験をするため、被験者となってくれる男性を公募した。その実験とは大学の地下に作られた擬似刑務所で20人の男性を無作為に「看守」と「囚人」にわけ、それぞれ与えられた役になりきり2週間生活するというものであった。初めはそれぞれの役を演じるだけの簡単なアルバイトと誰もが考えていた。この実験の主旨は、それぞれ与えられた役割に従って行動させ、肩書きや役割が人間の行動に与える影響を調べるというもの。しかし、実験が進むうち、「看守」役はどんどん支配的、攻撃的になっていき、それに対して「囚人」役は受動的、服従的になっていった。いつしか模擬刑務所内はたんなる実験をこえて、制御不能の状態に陥っていった。


◆エレファント
1999年4月20日にコロラド州で起きた、世界を震撼させた惨劇・コロバイン高校銃乱射事件をテーマにした作品。プロの役者は大人の3人のみ。生徒はすべて、実際の高校生3000人からオーディションで選ばれた。役やセリフに彼らの実際の体験や生活を盛り込んであり、役名も彼らの本名を使用した。第56回カンヌ国際映画祭で、最高賞のパルム・ドールと監督賞を史上初めて同時受賞した。

【ストーリー】
オレゴン州ポートランドのある高校では、いつも通りの平凡な1日が流れていた。学校に送ってくれた父が酒に酔っていることに気がつき、兄に迎えにくるよう電話をするジョン。公園を散歩するカップルを撮影する写真部員イーライ。噂話や母親への愚痴に花を咲かせる仲良し女子3人組。アメフトの練習後、恋人と待ち合わせるネイサン。そんななか、いじめられっ子で内向的なアレックスとエリックは、ネットで入手した銃器を手に学校へ向かっていた…。
ーー平穏な朝、図書館、写真部、カフェテリア、クラブ活動、ありふれた噂話、いつもと同じ1日だと思っていた。


今回ご紹介したのはポップコーンを囲みながら友人とわいわい観るには向かない作品ばかりですが、実話だからこそ観終わったあとにこころにずっしりと残る不思議な余韻を味わえる作品です。静かに映画を愉しみたいとき、興味のある作品がありましたら是非手にとってみてください。

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(女子のお悩み解決コラム -WomanNews ウーマンニュース-)