筆者が子どもだった頃、毎年大晦日恒例の「紅白歌合戦」は特別な行事でした。
亡くなった父親が吹けば飛ぶような小さな会社を経営していたため事務所兼用の自宅には土曜日も日曜日もなく客人が出入りし、母親も接客応対に追われ、ようやっと父と母と姉と自分の家族で水いらずの時間を過ごせるのが、「紅白」が始まる大晦日の夜9時から翌元日にかけての僅か1日半くらいで、1月2日の朝になるとまた怒涛のような来客が再開してしまうという年末年始を繰り返してきたからです。
だから紅白を観るときは真剣でした。今の日本を本当に代表する流行歌手は誰で楽曲は何なのか。伝統的な演歌や歌謡曲の歌手をおさえてフォークやロック系の人が「トリ」を取ることはできるのか。興味は尽きませんでした。あの頃のそんな自分はもう何処にもおらず、紅白の時間だけは仕事の話しをしなかった父ももうこの世にはおらず、今では複数の連載先の締め切りに間に合うようにパソコンに向かって原稿を書きながらチラチラと横目で見るだけになった「紅白」ではありますが、それでも「本当は出場してほしかったなぁ」と思えてならない女性のヴォーカリストたちがいます。今回はそんなお話しです。


【ももいろクローバーZ(百田夏菜子さん・玉井詩織さん・佐々木彩夏さん・有安杏果さん・高城れにさん)】

どんな形でもいいから、KISS(キッス)の4人との共演で、紅白に出てほしかったです。
2015年1月に発売された米国のハードロックバンドKISSとのコラボ・シングル『夢の浮世に咲いてみな』。同年3月に行われた東京ドームでのKISS日本公演へのゲスト出演。KISSの結成時からのオリジナルメンバーの一人でベースとヴォーカルを担当するジーン・シモンズは来日した際のももくろZとの共同記者会見で、「ももくろZは世界中のいかなる音楽グループよりもファンを大切にしている。その意味で、世界一のロックスターであることに疑念の余地はない」とまで言って、絶賛しています。

筆者も同感です。ももくろZファンである“モノノフ”のみなさんならご存知ですが、2008年の結成時から、「アイドルとして有望株ではない子たちの集まり」という位置づけで所属事務所に扱われ、「本人たちの努力次第でどこまで伸びるか様子を見よう」との趣旨から、路上で関心を持った人だけを相手にライブを行う“ライブアイドル”として地道に活動を続けてきたのが彼女たちなのです。
だから、お客さんを楽しませることに関しての「業」が、他のアイドルとは違います。ジーン・シモンズと並ぶKISSの2枚看板の一人であるギター担当のポール・スタンレーは、「全員、このままうちに連れて帰ってしまいたい。そのくらい愛おしい」と会見で言いましたが、本音だろうと思います。

ももいろクローバーZには、紅白に出てほしかった。KISSと一緒に。これが筆者の本音です。


【DREAMS COME TRUE(吉田美和さん)】

吉田美和さんが50歳になられた区切りに、紅白に出てほしかったです。今の吉田さん、若かった頃以上にとても魅力的です。
『未来予想図2』などは吉田さんが高校生のときに作られた楽曲ですが、50歳になられた今の方が、「人生は必ずしも思うように上手く行かないものだけれど、そこがまた“より良く生きる”ことについて考えるきっかけになる」という意味で、<山も谷もあることを想定した未来予想図こそが「思った通りに叶えられていく」のだ>という風に歌われているように聴こえ、胸にしみるのです。相棒でベース担当の中村正人さんとのコンビネーションは、相変わらず健在ですね。


【宇和島おかえりプロジェクト(花れんさん・土居裕子さん・萩森花菜さん・中川奈美さん・遠藤百合さん)】

2015年は宇和島藩伊達家初代藩主の伊達秀宗が今の愛媛県宇和島市に入って400年の記念すべき年でしたが、この記念すべき年に宇和島市出身の女性シンガーソングライターである花れん(かれん)さんが自身の新曲『おかえり』をテーマソングとして宇和島市出身のミュージシャンたちに広く呼びかけたところ、素晴らしいユニットが実現しました。「宇和島おかえりプロジェクト」がそれです。花れんさんを中心に、ベテランミュージカル女優の土居裕子さん、歌手で声優の中川奈美さん、ソプラノ歌手の萩森花菜さん、バイオリニストの遠藤百合さん、男性ではシンガーソングライターの大石昌良さんや工藤圭一さんといった、全員が宇和島市出身者という奇跡的なユニットです。

2015年6月にリリースされた花れんさんのニューシングル『おかえり』は、You Tubeでも視聴できる素晴らしい楽曲です。筆者はここ4年間毎年10月に東京の調布市にある小学校で開催されている「ふれあいコンサート」で今年も花れんさんのきれいな歌声と旦那さんであるピアニストの扇谷研人さんの素敵な演奏を聴いてまいりましたが、花れんさんがMCで「日本には“おかえり”というとても素敵な言葉があります」と話し、小学校の全校児童たちと一緒に合唱したときには感動しました。
この楽曲を、「宇和島おかえりプロジェクト」のメンバー全員で、宇和島伊達400年祭を記念した2015年12月の宇和島「おかえりコンサート」で歌ったのです。

筆者はNHKの全国ネットの情報収集力でもって、この「宇和島おかえりプロジェクト」が歌う『おかえり』のような楽曲を、国民の多くが注目している「紅白」で取り上げてほしかったです。大石さんらの男性ヴォーカルも素敵ですが、世代を超えた女性ヴォーカリストの人たちの「おかえり」のやさしい歌声を、もっともっと広く共有するのに紅白は絶好の機会だったろうになと思うのです。

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