シンガーソングライターの竹内まりやさんがデビューしてから、再来年(2018年)で40周年になります。デビュー当初はそのルックスもあって、「学園アイドル」的な立ち位置に置かれていたきらいがあり、大学の後輩でもある筆者が1年生だった1978年の夏頃までは、卒業に必要な単位を何とか取得しようと東京都港区にあるキャンパスに必死に通うお姿を、しばしばお見かけした記憶があります。残念ながら学業と音楽活動の両立は叶わず中退されましたが、1982年に山下達郎さんと結婚なさって以降メディアやステージへの露出は少なくても一貫した「まりや節」でわが国のポップス・ファンの心を元気づけてくださった功績は、松任谷由実さんや中島みゆきさんと並び称されるべきものであろうと、筆者は考えております。そんな「まりや節」を紡ぎつづけた原動力は、他ならぬまりやさん自身の「女子力」であったように、筆者は思っています。それでは竹内まりやさんの女子力とはどのようなものであるのか。その代表的な楽曲から探ってみたいと思います。


【男子なら誰でもキュンとくる“可愛らしさ”の女子力 ~日常の肯定~ 『幸せの探し方』より】

「彼のシャツ パジャマ代わりにはおった そのままで遅い朝迎えて まどろむ内緒の週末髪の毛も乱れたままで キッチンにすわって コーヒーの湯気の向こう あなたがあくびする」

今では60歳になられたまりやさんですが、この曲は彼女が38歳の当時に発売されたものです。まだ正式に結婚する前のカップルの、特に女子の愛くるしさが思い浮かぶような詩(うた)ですよね。可愛らしさという「女子力」を歌った詩であり、誰にでもあるささやかな日常を肯定した詩であると思います。今思うと、昔だったらかなりの年齢と言われた「40歳前後」くらいでは、現代の女性は全然可愛らしいキュンとくるようなキュートさを失っていないという意味で、「アラフォー」の概念を確立させた楽曲がこの歌ではないかと思ったりもします。


【中高年期以降の良好な夫婦関係 ~理解の女子力~ 『家に帰ろう(マイ・スイート・ホーム)』より】

「キスすることもなくなった 初恋のあなたが嫌いになったわけじゃないけど 素直になれないの 冷蔵庫の中で凍りかけた愛を温めなおしたいのに 見る夢が違う 着る服が違う いちどは信じ合えたふたりなら 心帰る場所はひとつ いつものMy sweet sweet home」

若い方にはまだおわかりにならないでしょうが、夫婦も50代くらにになってくると、二人の間をつなぐ絆が段々と肉体的なものから精神的なものへと変化して行きます。と同時に、夫婦は元々他人同士ですから二人の「違い」も際立つようになってくる。それなのに夫婦が仲良くやって行けるのは、妻はこの世でいちばん夫のことをよく知っているという「女子力」と、夫はこの世でいちばんよく妻のことを知っているという「男子力」があるからなのです。

この曲の2番の歌詞には、

「居心地の良さに決して甘えないで やさしさも忘れないで 好きな歌違う 選ぶ絵も違う でもいちばん私を知っている」

という一節があり、「あなたのことをこの世でいちばんよく知っているのは私なのよ」という「理解の女子力」へのまりやさんの自信をうかがうことができます。


【年齢を重ねて行くことへの肯定 ~潔さの女子力~ 『人生の扉』より】

「I say it’s fun to be 20(はたちになるのは楽しいわ) You say it’s great to be 30(三十路を迎えるのも素晴らしいことだよ) And they say it’s lovely to be 40(四十歳になるなんて何と愛おしいことなのだろう) But I feel it’s nice to be 50(でも私は五十歳になるのもいいなって感じているの)」

2007年、まりやさん52歳の年にリリースされた『人生の扉』の、まりやさんお得意の英語による歌詞部分を筆者の拙い英語力で邦訳してみました。ここに歌われているものは、「潔さの女子力」です。人はみんな誰でも平等に年を取る。これは避けて通ることのできないことです。年を取ることには「老いる」というマイナスの意味と「経験を積み重ねる」というプラスの部分がありますが、それを丸ごと受け入れる。老いるというマイナス面も含めて丸ごと肯定するという「潔さの女子力」がここにあります。

そんなまりやさんは、60代ではどんな歌を聴かせてくださるのでしょうか。まりやさんは折にふれてご自分のことを「ポップスの歌い手」であるとおっしゃってきました。日常の中に幸せを見つけ、自分とはパーソナリティーの違う愛する人を誰よりも「理解」し、潔く年齢を重ねて行くまりやさんのポップスに、さらに磨きがかかって行くことだけは間違いがないのでありましょう。




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(女子のお悩み解決コラム -WomanNews ウーマンニュース-)