2016年2月11日にこのWomanNewsにアップされたコラムで、筆者は「就活に臨む女子学生は論理のコミュ力を、男子学生は感情のコミュ力を磨くといい」といった主旨のことを書きました。ただこれはあくまでも一般論であって、感情のコミュ力を磨いた方がいい女子もいれば論理のコミュ力を磨いた方がいい男子もいるのは当然のことです。

そこで筆者はこれから本格的に就活に臨もうという若い人たちのために、論理のコミュ力と感情のコミュ力を磨くためのそれぞれの決定版ともいえる本を、各1冊ずつご案内したいと思います。内定獲得を目指す(主に女子の)就活生のみなさんが今から読んでも全然遅くない2冊の本を、みなさんの就活成就という渾身の願いを込めて、紹介させてください。

【感情のコミュ力を磨くために デール・カーネギー著『人を動かす』】

筆者が大学を卒業して就職した政府系の政策銀行で、新人研修の際に手渡されたのがこの本でした。自己啓発書の元祖と呼ばれているあまりにも有名な書物ですが、アメリカの作家デール・カーネギーが自分の経験に基づいた多くの例を挙げながら「人を動かす極意」「人に好かれる極意」について著した、あまりにも有名な作品です。1937年の発売以来、わが国でも430万部以上、世界では1500万部以上を売り上げているとされています。

筆者はこの本を渡された当初、「何だかお説教じみたことがいっぱい書いてある本だな」といった感想を持ちました。22歳の若者には、カーネギーの人生経験に基づいた深い洞察が、「うざったかった」のだろうと思います。ところが自分が50代も半ばを過ぎてきて、若い人たちから何かしら相談というか助言を求められる年齢になってみると、この本に書いてあったことがいかに「その通り」であったかということが、わかるようになってまいりまして、具体的にどのようなことが書かれているかと申しますと……。

人を動かすには、批判も非難もしない。苦情も言わない。
人に好かれるには、笑顔で接する。
人に好かれるには、その人の名前を覚えて、名前で呼ぶ。
人に好かれるには、聴き手にまわる。
人を説得するには、相手の考えや希望に対して「共感」を持つ。
人を変えるには、まずほめる。注意は遠まわしに与える。

これだけでも「目から鱗が落ちる」感じを持たれるかたも多いと思いますが、就活生のみなさん、今からでもぜひ読んでみてください。「感情のコミュ力」を磨くための“教科書”にこの本はなりうると、筆者は自信をもってお奨めいたします。

【論理のコミュ力を磨くために マックス・ウエーバー著『支配の社会学』】

さて一方で就活生のみなさんに「論理のコミュ力」を磨いていただくうえで「これ以上はなかろう」という書物があります。ドイツの社会学者で経済学者でもあるマックス・ウエーバーが1910年に執筆をはじめた『経済と社会』に含まれる諸論文のうち、遺稿として1922年に発表された『支配の社会学』がそれです。

政治学や経済学・社会学などを学んだ経験をお持ちの人なら読んだことのある人も多いと思いますが、この本は読む者に、「わたしたちは今どんな社会に生きており、その社会を動かしているものの本質は何で、その社会はある日突然どのような社会に変貌してしまう怖れがあるか」等、およそ大人の社会人として理解しておいた方がよいことの根底部分をきわめてクールかつ論理的に説明してくれています。

なかでも特筆すべきは、この世の中にある「支配」とは、「合法的支配」、「伝統的支配」、「カリスマ的支配」の3つの類型にモデル化することができるというくだりで、就活生のみなさんがこれから大人の社会人として様々な問題に直面した際、「この問題は、この組織の支配者が本質的にカリスマ的支配者であるために生じているのだ」といったように、その事象の構造的な核心に迫るための武器となる「論理」を提供してくれるはずです。

『人を動かす』で感情のコミュ力を磨き、『支配の社会学』で論理のコミュ力を身につけ、面接官をうならせて内定を獲得されることを、心からお祈りしております。



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(女子のお悩み解決コラム -WomanNews ウーマンニュース-)