イギリスの大手一般新聞『ガーディアン(The Guardian)』は、1821年に『マンチェスター・ガーディアン』として設立された、発行部数が26万部(2011年4月4日~5月1日平均)を超える、伝統ある日刊紙です。

1821年といえば、わが国は江戸時代後期にあたる文政4年。伊能忠敬によって日本全図がようやく完成をみた年ですから、イギリスではそんな時代に一般の市民が新聞というマスメディアを既に手に入れていたということになります。

ガーディアンの編集方針は中道左派・リベラル寄りとされており、最近では元CIA職員のエドワード・スノーデンがNSAの機密資料を信頼のおけるガーディアンに託したことによって事実に基づいた多数の記事を掲載しており、ガーディアンのアメリカにおけるweb部門はそういった報道が評価され、ピューリッツァー賞の公益部門金賞を受賞しています。

これほどまでに格式のあるガーディアンは2016年2月8日付の同紙電子版で、わが国で今起きているタレントのベッキーさんとロックバンド「ゲスの極み乙女。」のヴォーカル・川谷絵音氏の不倫騒動について触れ、「日本の芸能界にはびこる女性差別を反映している」と報じました。

【ガーディアン紙による日本の芸能界の女性蔑視体質批判は原文で読むと怒り心頭・ブチ切れ状態】

ガーディアン紙のこの記事は、web版の「the guardian」で誰でも読むことが可能で、当該記事のタイトルは、「Downfall of Japanese TV’s girl next door highlights wider industry sexism」となっています。日本語に訳すと「日本の、気取らず親しみやすい人気タレントの女の子の転落は、より広義での<日本芸能界>における女性蔑視と男性上位主義を際立たせている」となり、タイトルだけでもかなり強烈な口調で日本の芸能界、ひいては日本社会を批判している様子がわかります。

記事の内容をよく読んで行くと、ガーディアンが最も問題視していることは、この騒動にかんする日本社会と日本国民からの大バッシングが、川谷氏よりもベッキーさんに向けられている点であることが分かります。実はこの点については筆者もこの騒動が表ざたになった後の比較的早い段階で感じてはいました。次の節で論点を整理してみましょう。

<参考:2016年2月8日配信『the guardian(web)』>

【川谷氏よりもベッキーがバッシングを受けることがいかにおかしなことであるかの理由】

ガーディアン紙が記事で指摘している論点を筆者なりに整理すると、下記の通りです。

モラルに反する行為の責任はベッキーさんと川谷氏の両方にあるはずであり、しかもベッキーさんは独身であるのに川谷氏には伴侶がいる。その意味でどちらかというとより非難されるべきはベッキーさんよりも川谷氏の方であることには疑いの余地が無い。

にもかかわらず、日本の<芸能界>並びに<日本社会>は川谷氏の方ではなくベッキーさんの方に集中砲火を浴びせており、ベッキーさんが民放テレビのレギュラー全10番組と複数のCM契約という一切の「仕事」を失い休養を余儀なくさせられたのに対し川谷氏の方はほとんどの仕事を続けることができている。


両者が身を置く業界が、川谷氏が<ポピュラー音楽業界>でベッキーさんの方はいわゆる<芸能界>であることを考慮すると、日本の<芸能界>には根強い「女性差別」「女性蔑視」「男性上位主義」が残存しており、これは2013年にAKB48の峯岸みなみさんというアイドルが恋愛禁止の掟を破った際に頭を丸めて謝罪したこととも通じる日本<芸能界>の異常性を象徴している。

ざっとこのような論点であると言うことができると思います。

【ベッキー騒動当事者たちの予想される今後】

さて、筆者は時評家(コラムニスト)という立場上、今回のベッキー騒動の当事者たちについて誰が「善」で誰が「悪」かといった論評はいたしません。ただ、当事者たちに待ち受けている今後についてはある程度は論理的に予測をすることができますので、それについてだけ触れておきます。

川谷氏は今後ロックミュージシャンとしてロックの母国イギリスに活動の範囲を伸ばそうと企てたとしても、英国民から受け入れられることはかなり難しくなったと言うことはできるかと思います。それは、<不倫>がいいか悪いかといった単純な話ではなく、今回の騒動における川谷氏という男性のパーソナリティーそのものが、ほとんどの「英国民にとって「ジェントルマンシップが欠落している」という印象を与えてしまっただろうと思うからです。これほどまでにグローバル化が進んだ現代、ガーディアン紙にこれだけ大きく取り上げられてしまった「紳士でない」「騎士道にもとる」という評価は、完全に払しょくするには大変な時間とご本人の努力を要するでしょう。

一方のベッキーさんですが、筆者は恋愛の専門家ではないのでそちらの予後は分かりません。が、彼女には小さな頃から「雑貨を扱う店の経営者になりたい」という夢があり、そのために亜細亜大学の経営学部に入学し、真面目に単位を取得して卒業されたと聞いています。今回の騒動は、いずれベッキーさんが経営者を目指すのであれば何にも代えがたい貴重な経験となったことでしょう。

ベッキーさんの方に甘い、ですって? 当然でしょう。筆者はWomanNewsのライターですから、どこまでも女子の味方です。


朝日新聞デジタル「就活割」
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