2016年1月7日付のWomanNewsで公開させていただいた筆者のコラム『恋する女子が「使える」ユーミンのフレーズ7選』は、おかげさまでご好評を頂戴いたしました。今回は続編として『女子が言われたいユーミンの歌詞のような一言』と題し、もうひとつときめき不足にみえる昨今の恋愛シーンにおいて、男子に奮起を促す意味も込めて書かせていただきたいと思います。

「君は昔から 優しすぎるのさ 許してばかりじゃ 幸せになれないよ」(『恋人と来ないで』より)

ユーミン作品としては珍しいデュエットのラブソング『恋人と来ないで』(1980年作品)の中で、岡田真澄さんが別れる間際の恋人に、ささやくように歌っている台詞です。岡田真澄さんといえば生前はわが国の二枚目俳優の代表選手のような存在でしたが、なくなられた後で実の息子さんから「親父は実はお金がないのにあるふりをして生きていたから大変だった」と暴露されて話題を呼びました。

が、そんな内実など何のその。「何か文句あるか?」と言わんばかりのこの台詞。“ミスター二枚目”岡田真澄さんでなければ嫌味になってしまってとても歌えないフレーズですね。一度は愛し合った彼女と別れなければならないのであれば、これくらいの気の利いた言葉を贈って別れるのが、二枚目としての“業”ではないでしょうか。

「サイドシートにおまえを感じれば 地図がなくても行けると あなたは言う」(『ナビゲイター』より)

「今回はキザな台詞特集なのか?」と訊かれそうですが、こういう台詞をキザに聴こえないようにサラリと言ってのけるのが男子の心意気というものです。1977年発売のシングル作品『ナベゲイター』の出だしのフレーズです。

「哀しい場面では 涙ぐんでた 素直な横顔が 今も恋しい」(『「いちご白書」をもう一度』より)

たとえ若かった頃の思い出の1ページにすぎないとしても、「素直な横顔が今も恋しい」と言ってもらえたなら、嗚呼あの日々はけっして無駄な時間ではなかったなと思えるもの。1975年にバンバンが歌って大ヒットした荒井由実作品『「いちご白書」をもう一度』の一節です。

「どうして どうして僕たちは 出逢ってしまったのだろう」(『リフレインが叫んでる』より)

発売すればメガ・ヒットというユーミン神話が崩れかけてきた1988年の作品『リフレインが叫んでる』の出だしの有名なフレーズです。裕福な暮らしを送ることが人生における至上の価値なのだとしたら、この人となど出逢わなかった方がよかったのかもしれないけれど、それでもやっぱりこの人と出逢い、一緒に歩いてきて楽しかった。

ある程度の年齢を重ねたカップルが2人の足跡を振りかえって充実感を持てるのは、そのように感じる時なのではないでしょうか。その過程で、「どうして僕たちは出逢ってしまったのだろう」と思うことは誰にでもあります。

この、男子が愛する女子にたいして「どうして僕たちは出逢ってしまったんだ」と言う感覚は実は今に始まった感性ではなく、19世紀後半のチャールズ・ディケンズやトーマス・ハーディといった偉大な小説家たちの作品には頻繁に登場する台詞であり、感性なのです。

ディケンズもハーディもその作品は当時のイギリス社会において弱い立場にあった庶民の視点で書かれたものが多く、衰退産業である呉服屋の娘だったユーミンさんが彼らに通じる感性を持っていたとしても、何の不思議もありません。

「ぼくのためだけに うたっておくれよ 忘れられぬあのうた」(『Still Crazy For You』より)

2006年にクレイジーキャッツ+ユーミン名義で発売された谷啓さんとユーミンさんによるデュエットナンバーの一節。この作品が発売された翌年以降、クレイジーキャッツのメンバーは次々に他界し、2012年までに存命者は犬塚弘さん唯一人となってしまいました。ユーミンさんはまさにクレイジーキャッツのためだけにこの歌をうたい、見送ってさしあげたことになるのです。

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