吉田秋生さんの漫画作品『海街diary』を原作として、是枝裕和さんが脚本・監督を手がけた映画『海街diary (Our Little Sister)』。綾瀬はるかさんが主演した2015年6月公開のこの映画は、大都会でも農村でもない「郊外」の美しい風景。日本の6月の雨と紫陽花の匂い。どれをとっても普段忘れていた大切なものを思い出させてくれるような素敵な映画でした。

でも、何よりも素敵だったのは、綾瀬はるかさん、長澤まさみさん、夏帆さん、広瀬すずさんの4人が演じる4姉妹の、何でもない日常を大切にする様子の素晴らしさです。

【人生で一番大切なものは平穏な日常。それを脅かすようなもの全てに抵抗するのが女子の素晴らしいところ】

筆者は常日頃から、「人生で1番大切なものは平穏な日常である」と考え、それを価値基準にして生きています。つまり、派手さはなくてもコツコツと真面目に働くのは妻子との平穏な日常生活を維持していくためだし、日曜日に子どもと川沿いのサイクリングロードを自転車で走り、「カルガモの雛がいるよ」「あそこ泳いでるのヘビじゃないか!」といった、どうということのない時間を無上の喜びとして暮らしています。

このような感性というのは、ある意味で「女性」的と言うことができるのかもしれません。わが国の一般的なオヤジの姿は妻子の話を聴く時間もないくらい遅くまで飲んで帰ってはバタンと寝てしまうさまであったり、日曜日もゴルフへ行ってしまって青空の下で子どもの学校での悩みを聴いてやることもしない身勝手な様子であったりします。

それにたいして、女性は日常を大切にします。『海街diary』はそんな日常を守りきれず伴侶や子どもたちを置いて出ていったダメな父親・母親と、そんな親たちの子でありながら日常を大切にしそれを脅かすようなもの全てに毅然としている愛すべき娘たち、女子たちの物語です。

【映画『海街diary』でみられる年頃の女子の日常シーンの数々】

それにしても、主人公の香田幸(こうだ さち)を演じている綾瀬はるかさんの可憐さは何と表現したらいいものでしょうか。幸も自分の両親と同じように、同情すべき事情があるとはいえ伴侶がいる人との関係を長年もってきた女性です。が、男性からのプロポーズを機会に、逆に関係を断ち切ってもっと身近な日常を大事にする暮らしを選ぶのです。

それから、この映画には長澤まさみさんが演じる次女の香田佳乃はじめとして、年頃の女性が家であられもない下着姿になって着替えたり缶ビールを飲んだりといった光景が頻繁に登場します。実は、これこそがわたしたちが愛すべき日常の光景なわけです。

筆者もそうですが女のきょうだいがいる男子ならみなわかっていることですが、女子は自分の自宅では平気でハダカ同然の格好でくつろいでいたりしますよね。これ、まさに日常そのものでしょう。広瀬すずさんが演じる香田3姉妹の異母妹の浅野すずが扇風機の前に立ってバスタオルをバッと広げて涼むシーンにしても、香田の家をすっかり自分の家として暮らすようになったすずの日常の1コマとして重要なシーンだと思うのです。

【「この平穏な日常を奪わないで」という女子の感性が、これからの時代を生きて行くうえでのカギを握っている】

男子は時おり、自分が「そうすべきだ」「そうしなければよくならない」と思い込んだことを、それまでの平穏な日常を壊してしまってでも実行する場合があります。その極端な例が戦争です。本当は、どんなことがあっても話し合いや交渉・駆け引きを使ってでも戦争だけは回避し市民の平穏な日常を守り抜くのがリーダーの務めであるはずなのに、時としてリーダーは詭弁を使って戦争を始めます。

『海街diary』の中で子どもたちを捨てた親たちも、自分自身に詭弁を使って無理やりに納得させ、子どもたちが「それさえあればそれでいいのに」という平穏な日常を奪っていったのです。でも、4姉妹は親たちよりも聡明で、この世の中で何が一番人を幸せにしてくれるのかを知っていました。海街の4姉妹たちはこれからの人生、どんな苦労があってもきっと乗り越え、幸せに生きて行くことでしょう。



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画像引用元:『海街diary』公式サイト

(女子のお悩み解決コラム -WomanNews ウーマンニュース-)