『東洋経済オンライン』では2016年2月26日、「非正社員比率の高い上位500社」を発表しました。それによると、予想されたことではありますがランキングの上位は小売業とサービス業の会社が占める結果となっており、1位はここ数年急速に業績を伸ばしている100円ショップ・チェーンのセリアで2015年3月期時点で従業員全体の95.1%を非正規社員で占めていました。2位は東京個別指導学院の94.4%で、個別指導塾を運営する会社はこの他にも12位のリソー教育(TOMAS)、17位の城南進学研究社(城南コベッツ)などといったように目立っており、企業の経営そのものが大学生などのアルバイト講師に依存している実態が透けて見えます。

<参考:『「非正社員への依存度が大きい」トップ500社』2016年2月26日『東洋経済オンライン』>


【正社員と非正社員の収入の違いを、会社側はこう言いますが……】

ただ、ランキングの最上位に位置するようなこういった会社では、逆の言い方をすれば「ほとんどみんなが非正社員のようなもの」であるため、ある意味での公平感のようなものが感じられるのかもしれません。問題はむしろ、同じ事業所で、同程度の業務をこなしているスタッフでありながら、下記の例みたいに収入のばらつきが出てしまっているようなケースです。

●正社員の場合は年収420万円(賞与含む)で別途退職金あり・社会保険完備
●契約社員の場合は年収240万円(若干の賞与含む)で退職金制度なし・社会保険完備
●パート・アルバイト等の非正規社員は平均年収140万円で賞与・退職金・社会保険等は一切なし

これは都内にあるサニタリー用品の専門小売店における実際の例なのですが、会社側の言い分としては「正社員には重大な責任を伴う判断業務が多くあり、拘束時間も圧倒的に長い。転勤も全国規模であり、正当な理由なく拒否することはできない。これに対して契約社員は一定程度の判断業務はあるものの正社員ほどの責任はない。

パート・アルバイト等の非正規社員に至ってはそもそも勤務時間・拘束時間が正社員や契約社員とは比較にならないほど短いので、空いた時間で他の仕事をしてくださって全然かまわないわけですし、大きな責任というものもありません」(人事担当者)といったものでした。

ところが、このお店で非正規社員として働いているAさん(30代女性/接客・品出し担当スタッフ)によると、「実際には私たちにも大きな責任と判断業務があって、やってることは正社員の人たちとそんなに変わるものではないんですよ。非正社員の収入は低すぎると思います」とおっしゃるのです。


【非正規女子が言う「公正な収入差はこの程度ではないかしら」の内容】

そこで筆者からAさんにさらに突っ込んで聞いてみましたところ、Aさんが実感するところの「公正な収入差」は、概ね下記の程度ではないだろうかと言うのです。

・正社員の場合で年収350万円程度
・契約社員の場合で年収260万円程度
・パート等の非正規社員でも目一杯シフトに入って相応の判断業務をしている場合、年収190万円程度

筆者はこの女性のこのご意見を聞いたとき、思わず「なるほど」と唸ってしまいました。


【同一労働同一賃金は、先進国では基本的人権のひとつ】

セブンイレブン社長の高城幸司さんは、「国際労働機関(ILO)では、同一労働同一賃金の概念を、基本的人権のひとつとしています」と言います。

<参考:『正規・非正規の「賃金格差」は埋められるのか』高城幸司・著2016年2月15日『東洋経済オンライン』より>

高城さんはさらに、「非正規社員にもきちんとした人事評価制度を導入して、非正規社員であっても高い賃金が得られる仕組みを導入しないと、スタートの段階でうまい具合に正社員になれた人との賃金格差はどんどん広がる一方」で、“頑張っても報われない”、“子どもたちも、どうせ非正規労働者にしかなれない”といった社会から活力を奪うような諦めの空気が蔓延してしまうといった主旨の警鐘を鳴らしておられるのです。


【「非正社員の収入低すぎじゃない?」という女子の本音を公正な登用制度の導入につなげられれば……】

非正社員の収入は低すぎるのではないかという女子の本音に、筆者は同意いたします。話題はちょっとそれますが、今、『保育園落ちた 日本死ね!!!』という激しい言葉遣いのタイトルがついた匿名のブログが、ネット上で大きな反響をよんでいますね。言葉の使い方は別にして、この文章を書かれた1歳児のお子さんをもつという30代の女性の気持ちは、とてもよく理解でき、共感いたします。筆者同様に共感される人もきっと多いはずです。

「低すぎる」と感じざるをえないわが国の非正社員の賃金の問題も、「その通りだと思う」といった共感の声の高まりによってしか解決しないように思います。“非正社員であっても職務能力が高く技能を持っていて、シフトにもまめに入ってくれて長く働いているので他の部署の人とのコミュニケーションも円滑で部署内の信望も厚い人”には、正当かつ相応な人事評価がなされるべきでしょう。そういう声をもっともっと上げないと、聞こえない人には聞こえません。

「保育園落ちた!」の女性の声がSNSに乗って今や何万、何十万という人を「そう思う」、「変えなきゃね」といった気持ちにさせているように、「非正社員の収入低すぎ!」という女性の声も、声として発しつづけることによって、今のわが国の大問題である「格差」の現状を突破して行くきっかけになれるのではないでしょうか。




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(女子のお悩み解決コラム -WomanNews ウーマンニュース-)