公立中高一貫校の人気が年々うなぎのぼりで、かなり運が良くないと適性検査に合格できない倍率になりつつあります。高等な教育を受けなければ収入の高いクリエイティブな職業に就けないというのに、高等な教育を受けるためには相当なお金をかけて入試突破のテクニックを学ばなければならず、だからせめてお金のかからない公立中高一貫校に入学してそれを学ばせたいというのが、一般庶民の「親心」のはず。

だというのにその公立中高一貫校に入るには5倍、6倍、7倍といった競争倍率の「適性検査」にパスしなければなりません。しかもこの適性検査の内容が小学生にとってはちょっとばかり難しすぎて、こつこつと積み重ねてきた勉強だけではどうにもならないため、結局はお金のかからない学校に入るために専門的な塾代のようなお金がけっこう必要となる。そういったアラフィフお母さんたちの声が聞こえてきます。しかもそれだけではなく、今お母さんになっているアラフィフ女子の人たちからすると、他にもいくつかの違和感があるようです。


【国際社会で活躍できるリーダーを育成するというけれど】

都内に住み団体職員をしながら介護相談員の夫と共働きで二人のお子さんを育てるYさん(48歳)は、第二子である小6のご長男にかんして、私立中学校に通わせるほどのお金の余裕はないため都立の中高一貫校へ進学することができたらいいなと思ってきました。都立中高一貫校は1校しか受験することができませんが、どの学校が自分の息子に合っていそうかを検討するために、3つほどの学校の説明会に行かれたようです。

Yさんは「3校それぞれに、それぞれの特徴があることがわかったので説明会には行ってよかった」と言いながら、「ただ、どの学校でも校長先生が、わが校では国際社会で活躍できるリーダーを育てるということを意識しながら教育カリキュラムを作っています的なお話しをなさって、それが私には違和感があった」とおっしゃるのです。


【みんながみんなリーダーってどうなの?国際社会で活躍できなきゃいけないの?】

まず第一に、公立中高一貫校は「リーダーを育てたい」という点ですが、生徒全員がリーダーを目指している集団って、どうなのでしょうか。中学生、高校生の時期というのは子どもにとって、「その子らしさ」のようなものをはっきりと自覚し、それに磨きをかけはじめるときです。リーダーなんかじゃなく、職人のように目の前の物を作り上げるのに没頭するような人生を送りたい子もいるでしょう。

また、国境線で隔てられた陸続きの隣国を持たない島国で生きてきたわたしたちは、どうしても語学をはじめとする国際交流ツールを使いこなすことが苦手です。実は中学校で習う英語がちゃんとできればSNSを使っていくらでも世界中の人たちと交流することが可能なのに、SNSもそういった用途にはあまり使われていません。都内で旦那様とともに商店を経営し、公立中高一貫校への進学を希望する小5の女の子を育てているMさん(50歳)は、「一般的にはとてもリージョナルな雰囲気で育っている子どもたちを、割合的には「一握り」である“帰国子女”のお子さんたちと十把一絡げに扱うことには無理がありませんかね?」と、述べておられました。


【公立中高一貫校の試みには今後も期待するが、学びたい子がみな学べてこその“公立”】

そうは言っても筆者は、公立中高一貫校の試みを否定する者ではけっしてありません。それどころか、リーダーを育てたい、国際社会で活躍できる人を育てたいという方針にも、筆者は賛同します。なぜならば、リーダーや国際人を育てるということは別に独裁者や“外国かぶれ”を育成することではなく、「弱い立場の人の気持ちがわかる、人格が高い人を育成すること」であり、「多様な国籍、人種、言語の人たちを認めることができる人を育成すること」だからです。

先程の例で言うなら、職人さんを目指しているお子さんであったとしても、同じ職人仲間を代表してその仕事の素晴らしさを広く世の中に発信できるコミュニケーション力とリーダーシップを併せ持っていれば、よりベターであることは間違いないですね。ですから「国際社会で活躍できるリーダーを育成したい」という公立中高一貫校のモットーは、それはそれで素晴らしいと思うのです。

ただ、現在のように入学希望者6人とか7人に対して入学キャパが1人というのは、“公立”の学校としてはいかがなものなのでしょうか。学びたい子の2人に1人か、せめて3人に1人程度には門戸だけは開かれているようでないと、お母様たちが、「ふるい落とすためだけにわざわざ大人でも答えを導き出せないような、難解かつ考えこませる問題を作っているのでは?」と勘繰ってしまうのも、無理はないように思います。


文部科学大臣さま。東京都知事さま。公立中高一貫校の門戸を、学びたい子どもたちにもうちょっと広く開いてやってください。子どもに質のいい教育を受けさせたいという願いは、家庭の経済力にかかわらず、親にとってはどの親にもみな共通した願いであるのです。




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