三度のご飯がちゃんと食べられず子ども食堂の支援を受ける子どもたち。家賃を払うだけで精一杯なため国民健康保険税が払えず風邪をひいても医者にかかれない非正規女子たち。病気をしてしまったら年金だけで生きられるわけがないと不安に怯える高齢者たち。わたしたちが愛する日本の国は、どうして今のようなありさまになってしまったのでしょう。東京大学名誉教授で経済学者の神野直彦(じんの なおひこ)さんはその理由を「お金の流れを国境で管理できていないからだ」と言います。どなたにでも分かりやすいように、神野教授がおっしゃる真意を筆者から解説をさせていただきます。


【お金持ちに負担してもらう税金がタックスヘイブンに流れ出るようになってしまったことが今のありさまを招いた】

そもそもこの世の中、誰もがお金持ちになるとか誰もが土地持ちの家に生まれるとかはありえないことなので、生存権や自由権といったいわゆる「人権」の概念が近代になって確立してきたと、神野教授は指摘します。あまりにも見るにたえない「格差」の存在は人道上よろしくないということですね。これについては、よほど屈折した考えをお持ちのかたでない限り、異議はないかと思います。

つまり、豊かな人に税金を多くかけて貧しい人に給付しないことには、わが国も新宿や渋谷の路上のいたるところに住む家を持てない子どもや若者や女性たちであっという間に溢れてしまいますよね。急速に高齢化が進み、非正規雇用の拡大で質的に高度な職務に対応できない勤労者の比率が高まってしまったわが国ではこれといった成長産業分野も見いだせず財政赤字にあえぐ今のありさまとなってしまったことも、神野教授は問題視しています。

この悪い流れを加速させる原因となったことの一つに、“お金の流れを国境で管理できなくなった”点が挙げられると、神野教授は言います。つまり、「税金を払って福祉の資金を支えてきたお金持ちたちが、より税金の安い国に資産を移す現象が進んだ」からであると、神野教授は指摘しているのです。

<参考:2016年6月7日付「朝日新聞」朝刊掲載『生存権の魂』(神野直彦)>


【日本の富裕層や大企業の税金逃れ額はケイマン諸島だけで60兆円超。保育園も職業訓練校も出来る】

日本銀行のデータによれば、わが国の富裕層や大企業のタックスヘイブンを利用した税逃れ金額は2013年の場合でケイマン諸島だけで60兆9280億円にのぼっています。また試算では、2013年より後の直近期に関していうなら毎年100兆円以上の課税を逃れたお金がタックスヘイブンに流れて行っているようです。

2012年の日本の国の税収が全部で45兆円だっとことを考えると、もはや有り余るほどの資産を持った人が同胞のことよりも自分の資産を増やすことしか考えなくなってしまったような国では、残念ながらお先は真っ暗という気がしなくもありませんね。富裕層や大企業が60兆円を日本の国の国庫に税金として真面目に払ってさえくだされば、保育士さんたちのお給料も上げられるし非正規で単純作業に従事する人たちがプログラマーになれるような再訓練を無料で実施する財源もできるのですけどね。


【同胞庶民のことを考えない有力者を尊敬するのを止め、清貧な実力者を尊敬して投票すれば変えられる】

では本当にわが国のお先は真っ暗なのでしょうか。神野理論をよく読んで対策を講じれば、悲観ばかりすることはないのではないかと、筆者は思います。同胞庶民のことを考えずに自分の資産を増やすことばかり頭にあるような有力者のことを、尊敬するのを止めればいいのです。パナマ文書に名前が登場するプーチンさんとかキャメロンさんとかメッシさんといったような人たちを尊敬しないようにして、そのような人たちが選挙に立候補してもけっして投票しないようにするのです。

選挙があったなら、たとえていえばサンダースさんのような本気で格差是正を推し進める人に1票を投じる。真面目にコツコツと働いているのに非正規雇用であるがゆえに家賃を払ったらそれで終わりという現実から脱却するには、それしかありません。貴女が誰を尊敬するか次第で、継承される格差社会で浮かばれなかった人生は変えることができます。わたしたちの社会を根底で支えてくださっている非正規女子のみなさんには是非、このことをわかっていただきたいと思うのです。




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(女子のお悩み解決コラム -WomanNews ウーマンニュース-)