この問いは、ただ単純に、色に興味の無い方から投げかけられ、ぶつけられてきます。色彩心理学は学問として、まだきちんと確立されていないからです。
現在の心理学の中で色彩は、五感の現象のひとつとして知覚心理学などで扱われています。一般的に現在、色彩心理として期待されるのは「好きな色で性格や気分がわかる」ということ等ではないでしょうか。

これは「性格テスト」に関わりますが、例えば「緑色が好きな人はこういう人」などといった内容について、学術的な裏付けはほとんどありません。このため、日本の病院やカウンセリング、学校などで使用される性格テストに、色を使ったテストはないのです。

巷で紹介している色と性格のつながりは、心理学というより、一般的なイメージや占いといえます。五感で、酸っぱい味が好きな人はこんな人です!と、言えないのと同様に、 この色が好きならば、こういう性格と言い切るには、あまりにも雑多な要因が多いため、学問としての検証は難しく、気分についても同様なことが言えるのです。とはいえ、やはり色が持っているイメージは、それに惹きつけられる性格や気分を反映している場合もある、と、臨床の経験から言えることもあります。

じゃあ、いったいどっちなのでしょう?はい、そうですね。難しいです。真面目に追求すればするほど、難しさを感じます。

海外では病気の子どもの絵についての色の研究が行なわれ、どのような状態のときに、どのような使われ方をするのかが分析されています。 ただ、これも特別で繊細な状況と治療者との関係性があって初めて顕著になるもので、テストとして構築できるようなタフな話ではありません。

それでも、色は人に影響を及ぼしている!! これは確かです。例えば、赤は人のからだに影響を与え、そのため筋肉が緊張する、血圧や脈拍が上昇することなどがわかっています。さらにからだの反応が人の心に影響を及ぼすこと、その反対に、心がからだに影響することもわかってきています。

色がからだに影響を及ぼす。からだと心は相互に影響を及ぼす関係である。とすれば、やはり色が心に影響を及ぼすとしてもおかしくありません。ただ、複雑すぎて、AイコールBにはならないということです。

現在、色からの様々な影響を、生理学的な反応も含めて、調査、研究が行なわれています。恐らく今後、色彩が人の心とからだにどのような影響を及ぼしているか、かなり解明されていくでしょう。ビジネスはもちろん、環境、医療、心理など各方面にとって、色彩心理学は本当に期待できる領域なのです。

それにしてもなぜ、色は人に影響を与えるのか。推測できることをお話しましょう。


色が作り出す影響は人類の進化を考えることでもあります。

人間のあらゆる機能は、進化の過程で獲得してきました。原始の世界では生き残るためにあらゆる可能性が試され、淘汰されていきます。人間の祖先は、視覚という能力にプラスして、色を見る色覚という力を最大限に進化させてきた生き物と言えます。ただ見えるだけではなく、色を見分け、色の情報を的確に判断することで、生き残る確率を上げてきたと思われるのです。

たとえば赤。

この色の体験が「生き残る確率」に関わるシーンを考えると、戦いや狩りのときの血の色の体験があげられます。どちらも血の赤を素早く見つけ、すぐに反応できる個体が生き延びやすかったはずです。すぐ逃げる、すぐ追うという反応ですね。

この赤を体験するシーンは何度も何度も繰り返され、そのたびに「赤の意味」を瞬時に理解し同時に体の反応が生じ、より早く逃げる、追うということができた固体が、生き延びやすかったといえるでしょう。

そうです。赤は今、人の肉体に最も影響する色です。血圧の上昇や筋肉の緊張という色から影響され生じる変化は、ちょうど逃げるため、追うために走ろうと、からだが準備をするのと同じ反応です。しかもそれは、反射的で無意識に生じています。私たちのからだは、今も原初的体験が残っていると考えても、不思議ではないのです。

人や生き物を動かしている血の赤。また炎や太陽の赤い色。これらの体験を象徴する色である「赤」のイメージは、すべての時代、すべての地域で、エネルギーに結びつけられます。こうして、赤は実質的に人の肉体の反応を作りだし、同時にそのイメージは深く人の心に浸透していったと考えられます。

しかし、各色が持つイメージは、この原始の体験だけではありません。そのイメージをベースに、各文化の中で作られてきたイメージがあります。例えば黄色のイメージは文化、宗教によって異なります。さらに個人的な体験。大好きな人が好きな色は、よい印象が生じるでしょう?
つまり、色には原初的体験に結びついたイメージ、各時代の社会、文化、宗教などが作り出したイメージ、さらに個人的体験から生じるイメージ。この3つが複雑に絡みあって、意味や印象が作られているといえるのです。そこには必ずポジティブなイメージとネガティブなイメージがあり、非常に複雑になっています。その上、たとえば緑といって、想像する色が皆同じではありません。

どうでしょうか。とても複雑で、学問として検証していくことが相当困難であることも、何となくご理解いただけるのではないでしょうか。色彩心理学はこれからの学問です。しかし、理論的に解明できていなくても、色は私たちを刺激する力を持っています。無意識の領域にも働きかけているのです。だからこそ、色を日常に取り入れて、自分のために活用する方法は、どこまでも自由で、どこまでも広がりを持つといえるでしょう。

自分自身にとって、心地よい色との付き合い方が探せると、それはとても心強い友人を得た人生になると、そんなふうに感じませんか?



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