“それでは、ここで小さなシンガーを紹介しましょう。皆様、きっと驚きますよ。小さな体からは想像もつかないパワフルな歌声、Japanese Little Singer, Yukiの登場です!”

シドニーに来て数カ月、音楽好きな知り合いのお蔭で素敵なボーカリストさんに出会い、その方にレッスンを受けるようになりました。恩師、YUKI KUMAGAI ( Jazz Singer ) との出会いです。長年オーストラリアで生活する、日本人ジャズボーカリストさんで本名をユキエ先生といいました。彼女は私を気に入って小さなゆきと可愛がってくださり、先生の旦那様でベーシストである John Mackie 氏 (Double bass ) の双方から指導教育をしてくれました。

もともと、日本で芸歴があったので、先生はすぐに私を前座としてステージに立たせてくれるようになりました。シドニーに来て4ヶ月くらいの頃からです。そんなにすぐ、海外でステージに立てるとは思っていなかったので驚きながら喜んで上がりました。

先生のギグ(ステージ仕事)があれば付いて行き、前座で歌わせてもらうのです。先生と、旦那様のバンドと共にシドニーで数々のステージに出演させていただきました。

「はい、だいぶいい英語になってきたわね」
先生は、「日本で有名だと言っているジャズシンガーの、ほとんどの歌は英語に聴こえない。あれじゃ誰にも、何を歌っているのか通じないわ。ちゃんと通じる英語を話して歌えるシンガーになりなさい。誰に聞かれても恥ずかしくないように。」と厳しく英語の発音を一言一句間違わないように、と教わりました。複数形のsの発音が抜けていたりや、thの発音が上手くいかないだけでも結構怒られました。厳しかったでも、勉強になりました。

「先生、今度、友達をここに連れてきてもいいですか?」
レッスンの終わりにそっと聞いてみた。マリのことだ。

「あら、いいわよ。見学?ボーカルさんなの?」
「見学というか・・、彼女と一緒に歌ってみたいんです。」

ちょっと何かを考えるようにして、先生は言いました。
「ふたり一緒に歌うの?」
「はい、ちょっとやってみたいんです。」
「そう・・、まあ、いいわよ。とりあえず連れておいで。」
「有難うございます、じゃあ来週予定が合えば連れてきます!」

帰り道・・、胸が躍った。いよいよ、何かが始まるようなそんな気がした。

家に帰るとさっそく、海外仕様の小さなプリペイド携帯でマリに電話をした。
「来週の木曜日?いいよ~。」マリはあっさり了承した。「じゃ、よろしくね。」

レッスンの前に、もう一度二人で会い、練習をした。2人の初めての曲、“They can’t take that away from me” (邦題:誰にも奪えぬこの想い)をああだこうだ言いながら、工夫を重ね、のコーラスワークを完璧にした。先生が2人の歌を気に入ってくれるように。マリも楽しそうに付き合ってくれたので、わたしも嬉しかった。

「先生こんにちは、友達連れてきました。マリちゃんです、よろしくお願いします。」
「あら、可愛い女の子。いらっしゃい。」「マリです、こんにちわ~。」
二人の第一印象は悪くないようだったので、私は一安心した。

「さあ、ゆきちゃん。じゃあ、今日のレッスンはどうするのかしら?」
「あ~、では。とりあえず発声は2人一緒にやらせてください」「はいはい」
先生のピアノの音と声に合わせて一通り発声練習をし、落ち着いた。

「はい、では、どうするのかしら?」二人一緒にレッスンをすることは、先生は普段ないので、都度私に希望を聞いてくれた。
「では、わたしがこの間先生に教えて頂いた“They can’t take that away from me”を、ふたりで練習してきたので、一緒に歌わせて頂いて良いですか?」「あら、もちろん」

先生にピアノを弾いてもらい、緊張しながら、ふたりのコーラスを披露した。交互に歌ったり、ハモったり、練習通りに上手くできた。ようやく、歌い終わって、先生の顔を見るとなんだか輝いていた。

「素晴らしいじゃない!あなたたち二人でこのコーラスワークを考えたの!?」
「あ、いえ、マリはよく分からないので。ゆきちゃんが考えて、マリは覚えました。」
「あ、はい。そうです。マリちゃんは完璧に覚えてくれました。」
「すごいじゃない!いいわよこれ。もっと練習して曲が増えたら二人でステージに立ちなさい。」先生の反応は予想以上だった。嬉しくて、わたしも興奮していた。
マリも、嬉しそうに「やったあ~」とおどけていた。

通常、1時間のレッスンだが、その日はやたら長かったのを覚えている。

先生と相談して、レッスンの仕方を考えた。1人ずつ歌える歌もあった方が良いだろうと、2人の1時間ずつのレッスンを2時間くっつけて、まず、発声練習は一緒に行い、ひとりが歌っている時、もう片方は歌詞や楽譜を書く。交代してソロの練習後、ようやく2人揃って歌い、デュオとしてのレッスンを受ける。というレッスンスタイルを完成させた。文句なしに楽しく充実した2時間でいつもあっという間に時間が過ぎた。先生も、私たちもやる気に満ち溢れていた。



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