2016年5月3日、憲法記念日の早朝、NHK総合テレビの「ここから」という番組で、音楽評論家の湯川れい子さんが小野文恵アナウンサーのインタビューに応えていろいろと素敵なお話をなさっていました。

その中でも筆者が特に感銘を受けたのは、「女の子が夢中になるものって安全なんですよ」という一言です。その言葉には、筆者の理解では「男の子はややもすると理屈で物事を考えがちで、たとえば平和のための戦争はやむを得ないみたいに時として本末転倒した危険な思考に走ることがあるけれど、女の子の場合はそうでなく、ストレートに愛や平和といったものを大切にするため、女の子が夢中になることに関して、保護者は余計な心配をしなくてもいい」という意味が込められていたような気がします。

【カッコイイから好きになる。ミーハー万歳!】

湯川さんといえば今からちょうど50年前の1966年6月、ザ・ビートルズが来日し日本武道館で3日間のコンサートを行った際、関係者に紛れ込んでホテルに宿泊中のビートルズの4人と直接面会を果たしたことであまりにも有名です。

『楽しいから熱狂する。カッコイイから飛びつきたくなる。それってすごく純粋な気持ち。私の求めていた音楽ってこれなんじゃないかな。私にとってもエポックメーキングな出来事でした』(2015年11月22日付「スポニチ・アネックス」より)

ビートルズの来日から50年が経った今、湯川さんはこう語り、「ミーハーのどこが悪いの? カッコイイと感じるものをカッコイイと言って何が悪いの? ミーハー万歳!」と言います。

【ジョン・レノンが不機嫌だったのは、湯川さんを売名目的の権力者の1人と勘違いしたからだった】

20代の半ばくらいまではジャズに親しみ、ジャズ評論家だった湯川さんでしたが、その後ジャズは次第に一部の頭でっかちの愛好家たちによって理論武装に走ったつまらない音楽になって行き、輝きを失って行きます。

ちょうどそんな頃に湯川さんの前に現れたのがエルヴィス・プレスリーのロックンロールであり、それを継承してさらに革命的に進化させたビートルズのロックミュージックでした。ビートルズの人気がわが国でも過熱してくるようになると、「ロックは健全な青少年を不良にする」といったような意味不明な言説が、保守的な人たちの間で流れるようになってきます。

湯川さんがホテルで面会したときにジョン・レノンが不機嫌だったのは、『僕たちに会いに来るのは売名目的の政治家や権力者が多く、僕たちや僕たちの音楽に本当は関心などないやつらばかりで辟易していた。れい子のこともそのような人間の一人だろうと勘違いしたんだ。あのときはゴメン』と、ジョン・レノンはビートルズの解散後に湯川さんに謝罪しています。(2015年11月22日付「スポニチ・アネックス」より)今でもいますよね、人気のロックスターを政治利用してライブに飛び入りしたりするセンセイがたが……。

【好きな音楽を好きな時に聴ける自由な社会がどれほどありがたいものであるかを、せめて女子は忘れないで】

そんな湯川さんにとって18歳年上のお兄様は特別な存在だったようです。憲兵の眼も怖れず戦時中にアメリカのPOPSを楽しみレコードを湯川さんに聴かせてくれた優しくモダンで自由なお兄様は、フィリピンでなくなられました。

『好きな音楽を好きな時に聴ける社会がどんなに大切かっていうことを、一生自分の指針にしようと思ったんです。すべての音楽、つまりその人にとって好きな音楽を自由に聞けるってことが、まず、社会の基本』(「Musicman-NET」より)

女の子が好きになることは、本質的に素敵なこと、楽しいこと、カッコイイこと。そしてそれを国や人種や宗教を超えて分かち合いたいという気持ち。だから女の子が夢中になることは安全で、心配ない。ミーハーはとてもよいこと。そう言い切る湯川さんの言葉には説得力があります。

湯川さんの言う「好きな音楽を好きな時に聴くことができ、誰にも遠慮することなくものが言える世の中。戦後70年かけて築き上げてきたそんな胸を張って誇ることができる社会」がどれほどありがたいものであるか。せめて女子のみなさんには、忘れないでいただきたいと思います。



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(女子のお悩み解決コラム -WomanNews ウーマンニュース-)