これは筆者が独身時代、震災前の神戸で政府系の政策銀行のサラリーマンをやっていたときの同僚だったK君の話しです。K君は早稲田大学を卒業した優秀な青年で、話しも面白く実家がそこそこ知名度のある化学製品の製造会社であったため、筆者も含め同僚たちからは「一度は他人のメシを食べてみる」的な、修行のような意味合いで銀行勤めをしているのだろうと思われていました。

ところがこのK君、つき合ってみるとたいへんに魅力的な人物で、やさしさと情熱と頭の良さを兼ね備えた愛すべき好青年であったがゆえに、その後波乱の人生を送ることになるのです。

【何とか立て直そうと戻った実家の家業が倒産。K君も自己破産して職を転々とする日々へ】

K君は政府系機関に数年勤めたあと突然に退職し、東京の実家に戻ります。何でも、知名度だけはかなりのものであった実家の化学会社は、主力商品であった脱臭システムが下水道の普及で時代遅れの技術となり、それに取って代わる新規事業も全く育っていなかったため、内情はいつ倒産してもおかしくない状態だったとのことでした(何年も経ってから、Kくんから直接聞いた話しです)。K君はそう遠くないうちに家業が駄目になることを承知のうえで、安定した政府系機関の勤めを棄てて家業の立て直しにトライしたのです。

4年後、K君の会社は倒産しました。巨額の連帯保証債務から自由になって人生をやり直すために、K君は自己破産をして免責を得ました。そこからがK君の波乱の職業人生の始まりです。

27歳のときに結婚した大学の1年後輩だった奥さんとの間に2人の子供がいたK君は、家族の生活を支えようと業種・職種を問わずいくつもの企業の採用試験を受けましたが、「ビジネスの世界における敗軍の将で、キズモノ」のK君を、正規で採用する会社はありませんでした。

日本全国どさ回りの経営コンサルタントのカバン持ち、総合病院の夜間警備員、大手スーパーが撤退した郊外の「買い物難民地域」での移動食料品販売、ファストフード店でのバイト、家具販売店の梱包作業員、芸能人のブログのゴーストライター。K君は奥さんと子供達のために働きました。もちろん安定しないK君の収入だけでは心もとないため、奥さんも本当に身を粉にして派遣事務の仕事をなさっていたことを覚えています。

【50代に入ったK君夫妻は裕福ではないものの成長した子供達と幸せな毎日を過ごしています】

そんなK君ご夫妻ですが、K君自身は現在、東京の多摩地方のミニコミ誌の編集に携わりながら専属で随筆を執筆するエッセストとして知る人ぞ知る存在となっており、また聡明な奥さんはその後地方自治体の外郭団体の職員に採用され、お給料はさほど高くはないものの準公務員としてそれなりに安定した職を得ていらっしゃいます。

小さい頃から自分の意見をハッキリ言える子だった上の娘さんは大学を卒業後就職したメーカーで1つ上の先輩と結婚して1歳の赤ちゃんのママになっており、高校生になった下の息子さんは歌もピアノも絵の腕前にも目を見張るものがあって、これから先が楽しみです。

K君は若い頃、芥川賞作家を目指していた文学青年ですが、実家の家業の立て直しを試み、それに敗れ、定職も失って「夢」どころではない人生を50歳になるまでずっと歩いてきました。普通の女子だったら、「こんなはずじゃなかった。なんで将来性もない中小企業の跡なんか継ぐのよ。おかげであんたにつき合ったあたしの人生メチャメチャじゃない。どうしてくれるのよ」と言うところでしょう。

ところがK君の家族は違います。貧しくても、上手く行かなくても、ずうっと笑い声が絶えない素敵な家族でしたし、今でもそれは変わりません。

【夢至上主義も安定性至上主義もウソ。大切なのはすぐそばにいる人と、その人と暮らす日常を愛する気持ち】

長くなってしまいましたが今回筆者が読者の女子のみなさんにしたお話しは、つまるところ男子のパートナーを選ぶさいに、「夢至上主義」で決めるのも「安定性至上主義」で決めるのもウソだということです。大切なのはK君のように、夢に破れても定職を失っても愛するパートナーや子供達を大切にし、その人達と暮らす日常を大切にするという気持ちなのだということを、女子のみなさんにお伝えしたかったのです。

男性を見るときには、ただその人の「人間」性を見てください。医師だからだとか弁護士だからだとか大きな会社の正社員だからだとかは、あとから結果として「そうだったのか」ということであればオーケーですが、最初からそういうことには着目しないでください。

そういう態度で男子を見ていれば、どんな女子の方でもきっと素晴らしいパートナーに出逢うことができようかというものです。

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