両親の離婚やリストラに伴うワーキングプア化、家業の倒産・廃業などが原因で、必ずしも経済的に豊かではない家庭で育った女子たちが増えています。

「それでも大学に進学して知識を広め論理的思考力を鍛え、できれば何らかの専門資格を取得しないことには、さきざき就くことのできる職業の選択肢が狭い範囲に限られてしまって貧困が自分どころか自分の子どもや孫にまで連鎖してしまう」との危機感から、在学中の生活費と卒業後の奨学金返済のためにキャバクラで働きながら大学に通う例が増えているといわれます。


【彼女たちに対する非難・批判はまったく的外れ。批判の矛先は大人たちが形成している世の中に向けるべき】


この手の報道がテレビのニュースワイド番組などで流れると、またたく間に彼女たちに対する非難・批判の投稿がSNSのタイムライン上を駆け巡ります。

「キャバクラで働いてまで大学行くなんて、バカじゃないの」「今すぐ辞めたいけど続けてる、なんて甘い。本職のキャバクラ嬢の人に失礼」こうおっしゃってる人たちがどれほど立派な方々であるかは存じ上げませんが、一つだけ言えることがあります。それは、こういった批判の矛先をキャバクラで働いている彼女たちに向けるのは、まったくもって的外れだということです。

実家からの仕送りがゼロの彼女たちが部屋を借りて都市部の大学に通学するためには、家賃を含めて最低でもどのくらいの生活費が必要になるかはみなさん大体想像はつきますよね。彼女たちが授業にちゃんと出席したうえで使える時間の全てを今のわが国の一般的な時給のアルバイト仕事に充てたとしても、その費用は賄えるでしょうか。

答えは明白ですね。そう、「NO」なんです。彼女たちは「貸与型奨学金をよりたくさん借りる」か、「一般的なアルバイト仕事の2倍(以上)の時給のアルバイトを見つけて働く」か。そのいずれかをしないことには、大学に通って勉強しつづけることができないのです。

だから、批判の矛先は彼女たちではなく、こういった世の中を形成している大人たちに向けるべきなのです。そうできない人は、「貧困層の女子は大学なんか行ってはならない」と言っているのと同じことになるのです。


【教育公費がOECD加盟国の中で最下位の日本】
折しも2015年11月24日の『日本経済新聞』(電子版)に、「教育への公的支出、日本また最下位 12年OECD調査」という記事が載っていました。

それによると、OECD(経済協力開発機構)加盟32か国の2012年のGDP(国内総生産)に占める学校など教育機関への公的支出の割合は、1位のノルウェーは6.5%、2位はベルギーとアイスランドで5.9%、4位はフィンランドの5.7%。そのあとはニュージーランドが5.4%、英国5.2%。米国と韓国が4.7%でこれはOECDの平均値と同じ。で、日本はというと、なんと3.5%でスロバキアと並んで最下位だったのです。

給付型の奨学金制度が充実してないうえに、国として教育機関には公費を支出しない。働く人の4割超は非正規雇用で生活可能賃金を貰えていない。国公立の大学でもかなり高い授業料を取る……。

まるで「教育は各家庭の責任で全てやりなさい」と言われているような感じです。このような数字を示されたあとでも、「キャバクラで働いてまで大学行くなんて、バカじゃないの」と、彼女たちに対して吐き捨てるように言うことができるのでしょうか?


【貧困だからこそ、大学に通って学んだ方がいい】

1、それでは、実家が経済的に苦しくて援助は到底期待できない女子がキャバクラでアルバイトしてでも大学に通って学んだ方がいい積極的な理由には、どのようなものがあるでしょうか。
筆者が考えるところの主だった理由は、おおよそ下記のようなものです。

2、大学でする学問は高校までの勉強と違い、学んだ知識を応用して物事を自分の頭で考える訓練になる。システムを論理的に自分で構築する基礎練習ができる。
したがって、人生のいろいろな局面で道に迷ったとき、他人の意見に惑わされずに自分で意思決定ができる能力を高めることができる。

3、大学の中には世の中の様々な「価値」に触れることができる機会がある。いろいろな価値に触れて考えれば考えるほど、「価値観の共有」のような安っぽい言葉の空々しさが分かるようになり、逆に「価値観が違っても共有できる“感性”の存在を知ることができる。

さらなるグローバル化が避けられない現代、価値観が違っても感性を共有することは至上の命題である。

4、大学に通わないと出遭える可能性が低い友人に出遭える。ことにわが国では、セレブリティ層の子どもたちが幼児教育の頃から「箱入り」状態で育っていくため、一般庶民の子どもたちが彼らと人生において対等に触れ合う機会は大学にしかない。
セレブリティの子どもたちにもよい面はあるので、彼らの中に「心の友」を持っておくことは今よりもっといい社会を将来築くうえでマイナスにはならない。

5、以上から、自分の代で「貧困の連鎖」を止めることができる。


【大学に行かなかった女子も大丈夫! ただ、職業によってはどうしても大学に行く必要がある】

大学に行かなかった女子のみなさんにも聞いていただくに値するお話しをしなければ、片手落ちでしょう。

筆者はもう「アラ還」と呼ばれる年齢になってきて、これまでの人生でそれこそいろいろな人に出遭ってきました。その中で、今この年齢になっても1年に2~3回は集まって一緒に飲んで食べておしゃべりする仲間たちがいるのですが、その中の多くの人が高校卒か専門学校卒です。筆者は大学に行きましたが、大学時代の同窓生たちと飲むより楽しいです。それは、みなさん実社会に出てから経験的にいろいろなことを学び、人への思いやりを培われてきた人たちばかりだからです。

また、この飲み会仲間の人ではないのですが、学校は義務教育しか終えていなくても団体の長となって社会に貢献し、家族にも恵まれて幸せに暮らしている60代の女性を知っています。つまり、大学など出てなきゃ出てないでいいというのは、その通りなのです。


職業によっては大学に行って相当広範囲の専門知識を習得しないと就けない職業(医師や薬剤師がその典型例です)もあるため、「貧困の連鎖を止めるためにも大学には行った方がいい」と申し上げてるだけなのです。

実際、2015年11月26日放送のTBSテレビの「NEWS23」では、経営コンサルタントになる目標を持って週3日キャバクラで働いている都内の私立大学に通う22歳の女子学生が採り上げられいましたが、経営コンサルタントとなるためにMBA(経営学修士)を取得するためには、やはり大学に行く必要があります。

その女子学生は、両親の離婚で親からの仕送りは一切期待できないため、4年間で400万円かかった大学の授業料のために貸与型奨学金を400万円借りたといいます。1年生のときは清掃のアルバイトと飲食店でのアルバイトを授業後から翌朝6時までかけもちして家賃と生活費を稼いだということでしたが、体が限界にきて辞め、その後、人から紹介されたキャバクラのアルバイトを始めたそうです。

結果、前のアルバイトの3倍の時給となり、大学生活との両立が可能となったということでした。

<参考:2015年11月26日TBSテレビ「NEWS23」・「変わりゆく国・キャバクラで働く女子学生たち」>


【頑張れキャバクラで働く女子学生。でも、ヤバそうなにおいがするものには絶対に近づかないで!】

さきほどOECDの統計数値を出してお示ししたように、わが国では公費を教育のために支出する割合が先進諸国の中で極端に少ないのです。だからこそ、筆者はキャバクラでアルバイトしてでも大学に行って学び、貧困の連鎖から抜け出したいという女子学生の意思を無条件に尊重いたします。

ただ一つだけお願いです。ヤバそうなにおいがするものにだけは絶対に近づかないでください。危険な誘惑から逃げて、逃げて、逃げまくって、目標としている未来を何としてでも手に入れてください。





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(女子のお悩み解決コラム -WomanNews ウーマンニュース-)